クラシック音楽が情緒に与える影響(2)

【大紀元日本9月14日】
モーツアルト効果

 モーツアルトの音楽は、いつまでも廃れることがないばかりか、純粋な音楽鑑賞という領域を越えて、各種の神秘的な治療効果も併せ持つ。老年性認知症から癲癇症まで、そして、知力の向上から乳牛のミルク産量の増加まで、多くの医学研究で、モーツアルトの音楽の神秘的な治療効果が証明されており、「モーツアルト効果」が今正に、現代の各研究領域で注目されている。

 研究者の分析によると、モーツアルト効果は、モーツアルトの音楽の旋律が人の脳のメカニズムに合致することによるものだという。

 モーツアルト効果が注目されたのは、1993年に科学雑誌「Nature」に発表された論文が最初である。カリフォルニア大学の2人の教授が、実験でモーツアルトのソナタを10分間聞かせると、知力増強の効果が見られたと証明したのである。

潜在能力を秘めた音楽治療

 19世紀初頭、欧州の精神科医が、いかなる刺激にも全く反応しないのに、唯一音楽にだけは反応する患者がいることに気が付いた。それ以来、音楽と医学の関連が次第に重視され、今世紀に入って、欧米各国の少年院、障害者施設、養護学校などでも、音楽を使った障害の改善や心身の治療が試みられ、一定の効果を上げているという。

 音楽治療が正式に認知されたのは、第二次世界大戦中である。「塹壕ショック」の患者の治療に音楽が有効であると注目されたのである。その後間もなくして、音楽治療の科学性を正しく認識し、研究者に支持を与えるために、1950年、全米音楽療法協会(NAMT)が設立された。

 多くの研究から、音楽を伝える神経と痛みを伝える神経が同一であることが明らかになった。それ以来、妊婦の分娩の際の苦痛を和らげたり、歯科で患者の心を落ち着かせるために、さらには、ガンの症状やガン治療に伴う副作用を軽減するためにも音楽が使われるようになった。

 また、結婚に関わる心理相談から強迫神経症や精神病の治療まで、現在ますます多くの精神療法の分野で、薬物と心理療法の補助手段として、音楽が使われるようになった。音楽は、患者に自己の感覚を正しく認識し、マイナスの情緒を改善するよう促す効果があると考えられている。

(続く)
 

(翻訳/編集・瀬戸)