汪兆鈞の最高指導部宛の公開状、意義重大=中国文化部研究員・劉軍寧

【大紀元日本11月18日】中国安徽政治協商会議常務委員の汪兆鈞氏が出した最高指導部宛の公開状は、中国内外において広い関心を呼んでいる。中国当局文化部の直属機構「中国文化研究所」の研究員、北京大学の政治学博士・劉軍寧氏は、汪兆鈞氏は良識と勇気あふれる人物で、公開状で挙げたことは中国が抱える典型的な問題点であり、この行動を高く評価し、国民は同氏を見習うべきだとたたえた。

北京在住の劉軍寧氏は中国の政治体制改革について、長年来、実質的な進展が得られていないと指摘し、今年10月に開催した第17回党大会も具体的な行動をみせていない。汪氏が一連の典型的な問題点を挙げたタイミングは、体制内外の人々がこれらの問題に強い関心を持ち、中国の政局の本質的変化に期待する状況に合致している、との見解を示した。

本公開状の意義について、劉軍寧氏は、立ち上がって声を発し、公開状を発表する…この行動自体は重大な意義を有すると分析し、「政治協商会議の常務委員が政治体制の改革などを訴えた。一部の内容について、これまでに多くの議論を繰り返してきたが、公で提言することとはまったく異なる。これはとても重要な一歩だ。汪氏はよいスタートを切ってくれた。多くの人が同氏のように、心の声を発するべきだ」と述べた。

政権内部の幹部が声を発するのを恐れていることについて、劉軍寧氏は、「勇敢に意見を述べる習慣を身につけていないためだ」「汪氏の行動は激励作用がある、更なる多くの人が表に出て見解を述べることを期待する」と語り、「中国社会がこのような人を必要としている。みんなが意見を明かし、討論に参加し、問題解決の方法を探るべきだ。これは公民の権利への意識であり、実現するには全員の努力が必要」と強調した。

汪氏の勇気について、劉氏は、本人の良識によるものであり、中国社会における大きな情勢変化とも関連しているとの認識を示し、「中国ではここ数年著しい変化を遂げている。しかし、みんなが長年来期待し続けているものはいまだに実現していない。このことを最終的に言い出した。これは必然的な結果である。また、国内では人権など求める抗争が勃発している。そのことも誘発剤である」と語った。

劉氏は、胡錦濤・国家主席と温家宝・首相が汪氏の提案を容認・考慮することに、期待を示し、「次はどの動き出るのか、我々は静観している。結果はだれもが知らない。よい結末を期待している。両指導者が汪氏の口を封じなければ、その他の人が声を出すのを容認できれば、このような広い度胸があれば、もちろん喜ばしいことであり、このような結果を期待している」と話した。

また、汪氏が公開状で法輪功への集団迫害の制止を求めたことについて、劉氏は賛同する意見を示し、「この迫害はあってはならない。中国当局は宗教信仰の自由を認め、尊重すべきである。いかなる宗教信仰をも迫害してはならない。被害者たちを非常に同情している。冤罪を被されたすべての人々には正義の評価を返すべき」と述べた。

劉軍寧氏は、安徽省生まれで、今年46歳。1993年卒業の北京大学政治学博士である。中国当局の「中国社会科学院政治学の研究員を務めたこともあり、ハーバード大学の訪問学者だった。現在は、中国文化部に直属する「中国文化研究所」の研究員である。若手政治学者の代表的な存在として、劉氏は数々の著作を手がけてきた。

(記者・辛霏、翻訳・叶子)
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