世界で最も込み合う宴、ノーベル賞晩餐会

【大紀元日本12月19日】スウェーデン人に最高級の晩餐会と称えられる年に1度のノーベル賞の宴は、食器はこの日のために年に1度の使用だけで、普段は市政府庁舎の保険金庫に保管されているという。また、食卓に着席した参加者らの間に僅か4センチの空間しかないことから、「世界で最も混み合う晩餐会」だと言われている。

世界で最も混み合う晩餐会(Getty Images)

ノーベル賞の晩餐会に参加する人数は約1300人で、通常では、王室メンバー、ノーベル賞受賞者ら、各国の優秀な学者、政界要人などが出席される。しかし、一般民衆もノーベル基金会に晩餐会の参加を申し込むことができるが、招待される可能性は非常に少ない。

ノーベル賞の晩餐会はノーベル氏が逝去した日、すなわち、毎年12月10日に行われており、場所はストックホルム市政府庁舎のブルー・ホールだ。情報筋によると、このホールをデザインした当初は、天井をブルーにする予定だったが、大ホールの赤いレンガの使用がより古風で質朴な美しさがあることから、赤いレンガの色にした。それ故、ブルー・ホールはブルーの色調ではないのだ。

晩餐会のテーブルに千人以上の席が用意され、各席に来賓のために用意された念入りのデザイン・カードが置かれている。基金会は前もって、個々の来賓に対して座席への希望を確認し、その希望をカードに明記する。例えば、「王妃の隣に座りたい」「王妃の隣に座れなくても、正面から見える場所でも良い」などを求める者もいれば、「同僚から離れるように」、「僕は未だ結婚していないから、若い女性の隣に」、「良い人の隣に」等などを求める者もいる。このような種々な難しい希望に対して、基金会は殆ど来賓を満足させることにしているのだ。

ノーベル賞の晩餐会

ノーベル賞の晩餐会のメニューは、ノーベル賞の発表と同様に厳選され秘密に徹しており、毎年の12月10日の夜7時に初めて公開される。メニュー内容は実際に料理するコックらも晩餐会の3日前に初めて入手できるのだ。勿論、絶対にメニューを漏らすことは許されないのだ。一方、来賓に与えられる食器は十数本の金メッキナイフとフォークを含み、十数枚以上の金縁皿、「ノーベル」を印されるハンドメードの十数種類のワイングラスだ。これらの食器は年に1度の使用以外に、常に市政府庁舎の保険金庫に保管されているという。

また、千人以上の来賓を世話することは容易ではないのだ。料理をアレンジする責任者は「晩餐会指揮官」と呼ばれ、この人が料理の順番を決めるのだ。野菜のほかに、北極エビ、サーモン、タラ、鹿肉などスウェーデンの特産物は必ず出される。しかし、ここ数年、動物保護団体の抗議によって、一部の狩猟による獲物は控えている。ところが、「鹿の数は人より多い」スウェーデンでは、鹿肉はその対象にはならず、ほとんど毎年晩餐会に出されるのだ。情報筋によると、鹿はスウェーデンの国王自ら捕獲しているという。

晩餐会終了後、従業員の疲れが原因で、食器を壊したりすることを防ぐために、使用済みの食器およびグラスは往々にして、翌年の1月に持ち越されてから洗浄される。一方、メニューは翌日に一般の民衆に公開され、料理として提供される。ストックホルム市政府庁舎はふだん市民に開放しており、市民は地下のレストランでノーベル賞の晩餐会と同じ料理を楽しむことができる。

(翻訳/編集・余靜)