輸入粉ミルクを求め、中国大陸の親ら香港に殺到

【大紀元日本9月27日】有毒粉ミルク事件が発覚してから、中国国内22の乳製品製造メーカーの粉ミルク製品からメラミンの検出が相次いだことは、全国を驚愕させた。9月17日、上海、北京および広州等各市では、大勢の親子が病院を訪れ健康診断を求めた。さらに、輸入粉ミルクの争奪戦も始まり、粉ミルク関連製品の価格も一気につり上げられた。また、輸入粉ミルクを買い求めるために、大陸から香港へ訪れる親たちも目立ち始めた。一方、中国の農村では情報の伝達が行き届かないため、多くの農民たちは未だにメラミン含有の毒粉ミルクを乳幼児に与えている。

実際、有毒粉ミルク事件は海外まで波及していて、デンマークおよびスウェーデンのArlaミルクグループ企業は、中国の提携先の商品からメラミンが検出されたことで、自国で流通している商品の一部も回収せざるを得ないと明らかにした。台湾政府に次いで、ブルネイ、アフリカのガーナ、タンザニア、ブルンジ共和国政府も中国大陸から問題になった乳製品類の輸入を禁止した。

中国当局衛生部(日本の厚生労働省にあたる)の9月12日から17日までの統計によると、全国で6千244人の乳幼児が腎臓結石に罹っていて、15日に発表した患者数より5千人も増えたという。その内、1千300人は病院に留められて、158人が急性腎臓衰弱に罹り、1人が死亡した。腎機能不能による死亡者数は3人まで増えた。少し前の報道によると、有毒粉ミルクを飲んだ乳幼児が泌尿器疾患に罹った症例は全国の20以上の省・市に広まったという。

*長年にわたり、被害者1億人以上に及ぶ

多くの乳幼児が「三鹿ミルク」を食した後に腎臓結石に罹った問題が続出し、香港でも有名ブランド「伊利」および「蒙牛」を含む多くの粉ミルク製品からメラミンが検出された。9月17日、広東省衛生局副局長の廖新波氏が発表した文章の中で、1億人以上の中国人は、知らない内に過去数年間ですでに、メラミンを使用した豚肉、牛肉、鶏肉、成人向け粉ミルクを食用していると指摘した。

9月17日、武漢のある小児病院で、腎臓結石の検査を受ける長期にわたりメラミンを含有する粉ミルクを食用した男児(China Photos/Getty Images)

*輸入粉ミルク価格高騰、香港へ買い求める

有毒粉ミルク不祥事が起きてから、広州では香港からの輸入粉ミルク製品のネット販売が拡大された。また、深圳羅湖の税関関係者は、中国大陸旅行者は乳幼児向け粉ミルクを求め香港を訪れる人が急増したと明らかにした。これに対して、香港薬局連合会責任者は、香港市民に安定供給するために、大陸旅行者に対して粉ミルク商品の購買数量の規制を行なったことを明らかにした。

9月17日、武漢市のある小児病院内、待合室で検査を待つ大勢の親子。全員が長期にわたりメラミンを含んだ異なるブランドの粉ミルク商品を使用していた(ChinaPhotos/Getty Images)

*香港、40製品を抜き打ち検査

香港食物安全センターは17日に、大陸で市場流通している40種類の牛乳および乳製品の抜き打ち検査を行った。その内訳は、30のサンプルが「伊利」、5のサンプルが「蒙牛」で、4つのアイスクリームサンプルが「光明酪農製品」、「ネッスル・ママの粉ミルク」のサンプルは1つ。実際、少し前に「伊利牧場大粒ヨーグルト味アイスクリーム」から微量のメラミンを検出したという。

香港当局は問題になった乳製品の商品名を公開し、各輸入企業に対して、リストに当てはまる商品があれば、即時に販売中止するよう呼びかけた。

*乳製品問題、北欧まで波及

一方、デンマークおよびスウェーデンのArlaミルクグループ企業が提携した「蒙牛グループ」は、一部の製品回収を行なった。内モンゴルにある「蒙牛グループ」は9月17日に謝罪声明を発表し、不合格品を全品回収することにし、消費者からの返品を受け入れ、製品の製造ラインを再整備することを示した上、問題商品によって腎臓等疾患に罹った消費者または、5年以内で罹った疾患が飲食した問題乳製品が原因である場合に、消費者に対して賠償を行なうことを明らかにした。

中国国家質検総局局長・李長江氏は、一部の問題乳製品商品はすでにバングラディッシュ、ビルマおよびガボン共和国等へ輸出されたと明らかにした。

*民衆の怒りを静めるため、中国当局スケープゴート引きずり出す

一方、中国当局は民衆の怒りを静めるために、また、その裏にある黒幕を隠すために、見せしめのスケープゴートを引きずり出そうと必死になっている。不祥事に対して、河北省副省長・楊崇勇氏は、問題になった乳製品供給企業はすでに05年にミルク製品の中にメラミンを添加していたと指摘した。「三鹿グループ」も同件を知っていたが隠蔽をし続けてきた。情報筋によると、「三鹿グループ」傘下の372箇所の製造先のうち、41の製造先がメラミンを製品に添加していたという。これに対して、警察側はすでに27人の容疑者を拘束し、4人を逮捕した。拘束された容疑者らの殆どが製造供給先の経営者だという。

中国国内メディアの報道によると、「三鹿グループ」本部がある河北省石家庄市では、中国共産党河北省委員会が、翼純堂氏の石家庄市委副書記、常任委員、委員、市長の役職を取り外し、免職処分を決定したという。一方、公安当局は「三鹿グループ」の元社長兼部長の田文華氏を刑事拘留したという。

実際、「南方週末」紙はすでに07年1月初旬に、一部の酪農および製造工場職員の内部情報により、地方から仕入れる一部の原料に不正行為を行っていることを報道した。中国官製「人民日報」も同年1月4日に同記事を転載した。よって、中国国家質検総局は乳製品質量問題を早くから知っていた。しかし、中国当局は無視し続け、現在の悲惨な状況を招いた。

(翻訳編集・余靜)