中国、ブラジルに熱いまなざし

【大紀元日本9月21日】中国海洋石油(CNOOC)と中国石油化工(SINOPEC)が、ブラジルの石油資産と石油会社に70億ドル相当の取得を提案する可能性があることが15日付のブルームズバーグで明らかにされた。

また、12日付のフィナンシャルタイムズによると、10日、アマゾンで巨大な鉄鉱所を操業するヴァーレ(Vale)社が、中国とブラジルを行き来する巨大な貨物船を中国の造船所から購入するため、12・3億ドル相当の貸付契約を中国の銀行2行と結んだと発表。

昨年中国は、アメリカを超えてブラジルの最大貿易パートナーへと一躍した。中国の対ブラジル投資を通して、これまでの資源確保とは違った中国の対発展途上国の投資戦略がうかがえる。

ブラジルへの投資は、2010年の上半期だけで、前年同期比を60・3%上回っている。投資効果は絶大で、中国経済を模倣するかのように、2010年の上半期のブラジル経済の成長率は8・9%を記録している。今、投資家の熱いまなざしがブラジルに向けられている。

世界経済が米国依存型から中国主導へと移行する動きを象徴するようなブラジル市場だが、ブラジル国内では懸念の声もあがっている。国内産業を促進する代わりに、単なる中国製造品の部品組立工場になってしまうのではないかという恐れだ。

また、8月11日付けのロイターの報道では、天然資源を狙う中国からの投資により、自国の資源の支配権を失いかねないという危惧が指摘されている。中国からの投資は雇用を創出せず、ブラジルからの輸出増にも大してつながるものではない、とサンパウロの業界団体FIESPIの幹部は語っている。実際、ボストン大学のケヴィン・ガラガー(Kevin Gallagher)氏は、ブラジル製品の輸出先の91%が、低価格の中国製品に脅かされていると試算する。

中東の石油、アフリカの鉱物資源など、 世界資源を精力的に確保している中国だが、昨今は、途上国のインフラ投資にその勢力を拡張している。世界各地で新しい鉄道ネットワーク建設に取り込んでいることが、その一例として挙げられる。

中国の鉄道建設大手は中央アジアと東南アジアで業務展開を長年行って来たが、最近、ウクライナやトルコ、南米でも契約を結んだ。広範囲な業務を獲得した要因として、競争力のある価格や質のほかに、中国の銀行からの融資提供も挙げられる。フィナンシャルタイムズによると、中国工商銀行の幹部が、最近の会議で同行は中国政府に協力して世界範囲で「鉄道建設プラス融資パッケージ」のサービスを提供することを明らかにした。

中国は20年にわたり資本財を生産してきており、 鉄道、発電所、鉱業機械、通信設備などを低価格で途上国に提供できるようになった。そして、 国営の中国輸出入銀行と中国銀行が介入するヴァーレ社との契約にみられるように、国有銀行の後ろ盾もあるというわけだ。 資金貸付けを伴う途上国を対象とした戦略は、先進国の長期的な経済展望が不確実な中で、途上国にとって防御手段の役割を果たす、とThe End of The Free Market(仮訳:自由主義市場の終焉)の著者イアン・ブレマー(Ian Bremmer)氏は指摘する。

互いに助け合い成長を遂げる「ギブ・アンド・テイク」の発想が欠如する中国投資。どんなに融資を受けようとも、資金を受ける国の市場が中国に荒らされるようでは、保護主義の立場を取らざるを得なくなるだろう。フィナンシャルタイムズの記事は、自国の主権を守ろうとするこの保護主義の波のため、中国がリードする経済への移行が躊躇する可能性があることを指摘している。

(編集・鶴田)
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