江沢民前主席が回顧録:生涯後悔している二つの大失策=香港誌

【大紀元日本2月16日】香港の政治月刊誌「前哨」の2011年2月号に、「江沢民が生涯後悔している二つの大失策」と題する記事が掲載された。同記事によると、中国前国家主席・江沢民は、自分の子息の名義で回顧録を書いており、死後発表する予定という。これらの回顧録には、江沢民は自分で下した二つの大きな決断を一生後悔していると洩らしているという。

中国問題の専門家・洪川氏は、海外中国語放送「希望の声」ラジオ番組で、この記事が明かした、江沢民を後悔させた2大失策の詳細や、自らの見解などを報道している。

同氏の話によると、江沢民は2002年、最高指導部から引退して以来、自伝を書く考えがあった。しかし、毛沢東から_deng_小平まで、歴任の最高指導者は自伝を書かなかったため、江沢民も政敵からの非難を避けるために、先例を作るわけにはいかなかった。このような状況のため、江は子女の立場で「父親を追憶する」という形で文章を数編書き上げた。自分が亡くなった後、子女の名義で発表させようとしているという。

この数編の文章は主に、江沢民の重大事件への対応を記述している。原稿は現在自宅に極秘で保管されているという。これらの文章では、江沢民は自分を美化し、責任を必死に第三者に転嫁しているという。

政権から引退して8年が経過したが、2010年までの期間、江沢民は身辺の人に少なくとも2回以上、今生で二つの大失敗を起こしたと漏らしたという。そのひとつは、1999年の米国によるユーゴスラビア攻撃への対応。もうひとつは、法輪功への集団弾圧を命じたこと。

対ユーゴ政府支援

1999年3月から5月にかけて、米国を中心とする「北太平洋条約機構」はコソボ紛争を解決しコソボがユーゴ政府から独立することを支援するため、航空攻撃を主とする78日間の作戦を展開した。当時、ユーゴ政府は国家主席だった江沢民に助けの手を求めた。ロシアのエリツィン大統領に支援を拒否された後のことだった。江は当時、「全力で支援する」との命令を下した。そして、中国当局はユーゴ政府に支援物質を提供すると同時に、リビアを経由してユーゴに地対空ミサイル装備を送り込んだ。

4月に入り、ユーゴ政府の国防部、情報機関、警察総局は相次ぎ米軍に爆撃された。ユーゴ政府はさらに中国当局に対し、同政府の情報局の主要部署を中国大使館内に秘密に移転することを要請した。江はそれを承諾した。4月中旬、ユーゴの情報局はベオグラード市の中国大使館の地下室に移転した。4月下旬、戦争の情勢がさらに緊迫化し、ロシアを含めて各国の在外公館の関係者が相次ぎユーゴから撤退する中、江は中国大使館の通常運営を命じた。

5月9日、米国の多弾頭ミサイル一基が同中国大使館に命中した。少なくとも3つの弾頭が最上階から建物を貫通して地下室で爆発し、多くの関係者が死傷した。

その時の米軍のミサイル攻撃の正確な発砲について、様々な説が飛び交っている。一説では、ユーゴ政権は撃墜した米軍F-117戦闘機の残骸を、研究のために中国大使館に提供。大使館内の地下室に保管された一部の残骸には衛星の位置通報装置があったため、米軍のミサイルが察知でき、正確に命中したという。

同爆撃事件後、米国政府に抗議する中国当局に対し、米側はユーゴ政権の情報局が中国大使館の地下室に移転されたなどの証拠を突きつけた。そのため、中国当局の態度が軟化したという。それをきっかけに、当時、江沢民主席が懸命に取り組んでいたクリントン政権との「戦略的パートナーシップ」の確立も水泡に帰し、米中関係が急激に冷え込んだ。中国最高指導部内部では、江沢民の責任論が浮上していたという。

法輪功弾圧

江沢民が犯したもう一つの最大の過ちは、1999年4月25日に法輪功弾圧を命じたこと。

法輪功は中国伝統の気功修煉法であり、五式の気功動作があるほか、「真・善・忍」に基づいてより自己を向上することで心身の健全性を保てるとしている。無料で公開しており、その著しい心身両面の健康効果により、中国国内で瞬く間に広がった。当時の中国当局の内部調査によると、国内での愛好者は約1億人とされている。体制内の幹部と共産党員も多く含まれていた。一説によると、江沢民の妻や孫も当時法輪功を習ったようだ。

当時の朱鎔基・首相を含む最高指導部の中央政治局の常務委員らは当初、一気功愛好者団体を粛清する必要はないとして、江沢民の弾圧の命令に反対していた。同年7月20日、江は政権への脅威であると主張し、反対意見を押し切って、法輪功を非合法組織と定めて弾圧をスタートさせた。

弾圧が11年間続いてきた中で、世界各地の法輪功学習者は弾圧の真相を明らかにし、弾圧の制止を呼びかける活動を展開している。また、陣頭に立って指揮を取る中国当局の高官らは国際社会で相次ぎ告訴されている。最高指導部の内部においても、江沢民派閥の意見が孤立している。内部情報筋によると、法輪功の弾圧により1億人余りの学習者を敵に回したとして、江沢民は身辺の人に弾圧は誤った決断だったと、今になって漏らしているという。

(翻訳編集・叶子)
関連記事
5月14日(火)、ドナルド・トランプ前大統領のニューヨーク裁判が行われているマンハッタンの裁判所の外で行われた短い記者会見で、マイク・ジョンソン下院議長(ルイジアナ州選出)は、この訴訟を「司法の茶番」と強く批判した。元訴訟弁護士で、現在共和党の最高位議員であるジョンソン氏は、この訴訟と米国の司法制度への広範な影響に憤りを表明した。彼はトランプ大統領に直接電話し、裁判に出席したいと伝えたという。
5月14日、バイデン政権はトランプ前大統領の元顧問スティーブ・バノン氏に対する実刑判決の執行を連邦判事に求めた。バノン氏は2022年に議会侮辱罪で禁固4カ月の判決を受けたが、判決を不服として控訴したため、刑は保留されていた。しかし現在、司法省は「もはや『判決を覆すか新しい裁判を命じることになりかねない法律上の実質的な問題』は存在しない」とし、バノン氏の主張をすべて退けた。
全米の大学キャンパスなどで頻発している活発なパレスチナ支援デモに、中国共産党と関連のある団体が資金提供していることが明らかになった。「2024年米大統領選に向けて不安をあおり、若者を過激化させ、米国を不安定化させることが目的」と分析している。
国際人権NGO アムネスティ・インターナショナルが最近発表した報告によると、中国や香港出身の留学生が海外で人権活動に関わった場合、その家族が中共による脅迫や報復を受ける事例があることが指摘された。このような中共の国際的な弾圧の実態が、再び世界の関心を集めている。
2020年以降、香港の自治が中国共産党によってさらに侵食されつつあるため、ワシントンは香港に対する政策を見直すよう求められている。米国のシンクタンクである「戦略国際問題研究所(CSIS)」は5月7日、「2020年以降の香港の自治権の侵食」というタイトルの報告書を公開した。同報告書は北京による香港支配の拡大を明確に描き、米国政府に対香港政策の見直しを促す40ページに及ぶ調査結果を発表した。