中共機関紙が党中央に異例の要求、世間の噂「早く鎮めよ」

【大紀元日本3月27日】中国共産党の機関紙「人民日報」傘下のメディア「環球時報」中国語版は22日、「社評、重慶調整後の中国社会の理性(社評、重慶調整後的中国社会理性)」という社説を発表。その内容は、党の最高指導部に対して、国内外で広まっている党内部の権力闘争のうわさを鎮静化させるため、できるだけ早く説明するよう要請したもの。

中国政府系メディアにとって異例中の異例ともいえるこの社説について、中国問題の専門家は「まさに内部の権力闘争の激しさを物語っている」などと指摘した。

江沢民派の主要メンバーで、次期政権入りの可能性が高いと見られていた重慶市共産党委員会の薄煕来・書記が15日に解任されて以来、中国政府筋からは新たな見解が示されていない。

「環球時報」の同社説はこのことについて、今社会では「様々な見解が非常に多い」とした上で、「党中央指導部は現在、民衆の関心が高い政治問題について、対応策を講じていると確信している。我々も、それらの結論が早く出されることを期待している」と述べた。

また同社説は、社会にはいろいろ噂が飛び交っているようだが、実際には社会全体が「党中央の、より権威ある声」を期待しており、その「権威ある声」を早急に発すれば「社会がより明瞭化され、民心も落ち着く」と訴えた。

従来の慣例によれば、政府系メディアが党の最高指導部に対して何かを呼びかけることは絶対にありえない。政府系メディアの主要な役割の一つは、党員や幹部、国民に対し、党指導部の決定を宣告するとともに、いかに協力してそれを執行するかを通達することにある。だからこそ、中共の機関紙である「環球時報」が発表した今回の社説は「異例中の異例」と受け止められ、却って「最高指導部で一体何があったのか」という民衆の疑念は一層強められることになった。

これまでにも「環球時報」は、重要な出来事について、先導的な評論を出すなどしてきたが、それは概ね上意通達的な口調であった。そのため同紙は、党内左派に支配されているとの説もある。

米国在住の中国問題の専門家・石蔵山氏は、同社説の内容は逆の視点から解読すべきだとして、「この社説の出現は、中共政権内部が分裂したことを示している。つまり体制内部の人間も困惑を覚えている。また、従来の政府メディアの世論誘導だけでは、国民の意識をコントロールできなくなっていることを意味する」と分析。

さらに同氏は、同社説がこの内容とタイミングで出されたのは非常に意味深いことであり、「中共政権はまさに崩壊の崖っぷちに立っている」との見解を示した。

(記者・林鋒、翻訳編集・叶子)
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