北京市の肺がん発生 10年で1.5倍、当局「喫煙が主因」

【大紀元日本11月15日】中国で大気汚染がもっとも深刻の北京市では、過去10年間において肺がんの発生は約50%増加した。北京市衛生当局の話を国営メディアなどが伝えた。北京当局は「主な原因は喫煙だ」としているが、各方面から「喫煙者数は減少し続けている」と当局に反論する意見が相次いでいる。

最近、中国で8歳の女児は肺がんを患い、担当医は大気汚染が原因だと判断した。世間を驚かせたこの報道の約1週間後、国営新華社通信は「喫煙は肺がん発症の主因」という政府見解を報じた。

新華社が伝えた政府の統計では、2002年から2011年までの9年間、北京市民10万人中の肺がん患者数は39.56人から63.09人に増えた。この数値には、出稼ぎ労働者などの流動人口が含まれていない。

英紙デイリー・メールの11日付の報道は北京市の民間研究団体の責任者・王輝耀氏(音読)の言葉を引用した。「大変ショッキングなデータ。環境の悪化を歯止めをかけることが急務。過去10年間で喫煙者数と喫煙可能区域が減少したにもかかわらず、肺がん発生率は激増したのはなぜ」と当局の喫煙主因論に疑問を呈した。

また同紙は、過去14年間で中国の喫煙率は1996年の63%から2010年の54%に減少。大気汚染がもっとも深刻の北京市では、喫煙率は15%と報じ、「中国のここ数十年の工業化発展は環境への配慮が乏しいため、深刻な汚染を招いた」と評した。

ミニ・ブログ(微博)ではユーザーの意見も盛んに飛び交う。「大気汚染は肺がん発生率の大幅増の原因。これは明らかなこと」と政府の見解を一蹴する書き込みが殺到した。

頻発する重度のスモッグに悩まされている北京市。専門家らは、「その環境汚染は国家の安全を脅かす大問題になりかねない」と警告している。国営中央テレビ局CCTVのカメラもスモッグの影響で撮影困難などの話がよく出る。10月末に天安門広場前の歩道に車両が突っ込み激突した事件では、目撃者の話によると「車の炎上から出た煙なのかスモッグなのかよく見分けがつかない」ほど、周辺は空気が淀んでいたという。

東北部の大都市ハルピン市では先月、スモッグの影響で可視距離は10メートル以下に低下し、学校の休校、空港の閉鎖、交通規制が相次いだ。

 (翻訳編集・叶子)

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