周永康氏の失脚、長男の供述が決め手=米NYT紙

【大紀元日本8月1日】昨年11月から失脚の噂が絶えなかった中国共産党最高指導部の元メンバー周永康氏の調査が29日にようやく発表された。同氏との攻防戦が8カ月に及ぶなど長期化する中、昨年12月にすでに拘束されていた長男・周濱氏から決定的な証言を得たために決着がついたと米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が31日報じた。

それによると、周永康氏は拘束中、容疑を否認し徹底抗戦の構えを見せていたという。しかし、周濱氏は保身のため、父親である周永康氏の不正をすべて供述。決定的な証言を前にして、周永康氏は観念し容疑事実を認めた。NYT紙は情報筋の話として、当局は周濱氏を周永康氏の一連の不正の中心人物と見て重点的に調査していたという。

今年42歳の周濱氏は海外留学を経て帰国後、父親の政治的影響力を利用して石油、エネルギー、不動産など各分野に進出し、莫大な富を手に入れたという。当局が周永康氏とその家族から1兆5千億円の財産を押収したと報じられた。

一部の報道では、周濱氏は事業のほか、官位売買や死刑囚の替え玉斡旋などのヤミの商売でも暴利を得ていた。当時、替え玉として利用されたのは当局に弾圧され、拘束された法輪功学習者だったという。刑務所の関係者に数十万元の賄賂を渡せば、1人の学習者を「調達」することができる。死刑囚はその後、学習者になりすまし社会復帰を果たす。周濱氏に替え玉を依頼する相場は300万元だったと言われている。

一方、被害にあった法輪功学習者はさらに臓器を摘出されたのち、処刑された。周濱氏は臓器を売り飛ばすことにも関与し、ここでも巨額の利益を手に入れていた。周永康氏が法輪功弾圧を実行する中央政法委のトップであるため、周濱氏が法輪功学習者を替え玉に仕立てることは可能だった。

法輪功学習者は弾圧の不当性を訴えるため北京に陳情に行く際、送還されないように氏名や住所を告げない人が多かった(法輪功公式サイト明慧網)。身元不詳者になった学習者が被害に遭っても、家族は安否を確かめる手立てがなかった。中国では、死刑囚を臓器提供者(ドナー)として利用するのは一般的で、当局もこれを認めている。

さらに、周永康氏の腹心で公安部部長補佐官だった鄭少東受刑者が2009年に収賄の罪で逮捕された際、周濱氏の違法行為を供述したという。2006年、宁夏回族自治区で立ち退きを拒否した男性が開発業者と結託するマフィアのボスによって殺害された事件があった。このボスはのちに逮捕され有罪判決を受けた。しかし、周濱氏の仲介でボスから2億元の賄賂を受け取った周永康氏は最高人民法院(最高裁)にボスの釈放を命じたという。同自治区の検察院、公安などは中央紀律委員会に不正を告発したが、当時権力の全盛期にいた周永康氏にもみ消された。

周永康氏には前妻との間に2人の息子がいる。今の妻と知り合い、前妻に離婚を迫ったが、拒否されたため、2000年に交通事故を偽装し前妻を殺害したという。これを知った息子らは激怒し、次男は長年、父親と絶交状態にある。今回の調査で親族ら300人が拘束されたが、調査は次男に及ぶことはなかった。長男は母親の死に心を痛めても、「利用できるものなら」と思い、父親の影響力を活用した。母の死で兄弟の運命に明暗が分かれた。

(翻訳編集・江音)
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