ペルー国会は18日、中国人実業家との癒着の疑惑を理由に罷免されたヘリ前大統領の後任として、左派系議員のバルカサル氏を暫定大統領に選出した。
国会は2月17日、大統領の罷免を求める動議を賛成多数で可決した。バルカサル氏は、今年4月の大統領選を経て新大統領が就任するまで、暫定的に政権を担う見通しだ。
発端はヘリ前大統領が深夜にフード付きパーカー姿でリマの中華料理店を訪れ、中国人実業家の楊志華と極秘会談していた様子が撮影されたことだった。
楊志華は単なるビジネス関係者ではなく、中国共産党(中共)当局が現地で推進するエネルギーおよびインフラ事業の重要な仲介者とみられている。こうした非公式会合は中共の「グレーゾーン外交」の典型的手法で、監督を回避し、主権国家の指導層に直接利益を提供することを目的としている。
ヘリ氏は会談について「絵画の贈り物を受け取るためだった」と釈明しているが、国会調査委員会は、楊志華の企業が最近リマ周辺の電力供給コンセッション獲得を積極的に進めており、タイミングが極めて微妙だと指摘した。
違法伐採の疑いで監視下に置かれている中国人実業家の季武暁東(Ji Wu Xiaodong)も、非公式に大統領府へ複数回出入りしていたことが判明した。
中共が「経済支援」の名目下 主権を侵食
今回の罷免は、米中がペルーで影響力を競う重要局面で起きた。チャンカイ港は中遠海運の関与のもと、中共の南米戦略拠点となっており、政界の混乱は「中国資本の透明性」への懸念を改めて浮き彫りにしている。
このスキャンダルは、米マイク・ウォルツ国連大使が今年1月の説明会で示した警告を裏付けるものだ。ウォルツ氏は、中共の中南米進出は腐敗や官僚への賄賂を伴うことが多く、「債務のわな外交」によって西半球の戦略資産を掌握しようとしていると指摘した。
また、「これは経済援助ではなく、不透明な政治体制を操作して主権を侵食しようとする試みだ」と述べた。
政治混乱にもかかわらず、ペルー経済は2025年に3.4%成長し、インフレ率は1.7%にとどまった。しかし、日刊紙El Comercioの社説は、中共がヘリのような代理人を通じて政治に影響を及ぼし続ければ、長期的には制度の透明性に壊滅的な打撃を与える可能性があると警告している。
ヘリ氏の失脚は、ペルーの民主制度が中共の違法な影響力に対して示した一つの反撃とみられている。だが4月12日の総選挙を控え、権力の空白期に中共が資金力を使って新たな親中共勢力を後押しすることをいかに防ぐかが、ペルー国会と国際社会にとって大きな課題となっている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。