【佛家物語】 悪魔の妨害に動じない蓮花色

釈迦牟尼が生きていた時代、蓮花色という尼僧が古インド舎衛国で修行をしていた。ある日、彼女は木の下で乞食の格好をし、禅定に入った。この時、悪魔は修行している彼女を見て妨害することを企んだ。

 悪魔は蓮花色の前に現れて言った。「おまえは木の下で禅定に入っているが、周りには誰もいない。こんなところで、もし悪人が来たら怖くないのか」。蓮花色は魔物の妨害である事をすぐに悟った。「たとえお前のような悪賢い人が百人来ても、毛髪一本たりとも動揺しません。悪魔を恐れる事は決してありません」

 悪魔は更に、蓮花色を脅かした。「それでは、私がおまえの腹部に入って内臓に宿るか、あるいは眉の真ん中に居座ってやろう。するとおまえの天目で私を見ることはできないだろう」。蓮花色は怖がる気配もなく、静かに言った。「私の心には佛法の強大な力の助けがあり、善から神通を修行しており、既に解脱しました。お前のような悪魔を恐れることはありません。恐れの心を根本から取り除き、恐怖心に左右されない境地に達しています。私は三界内の欲・喜び・怒りの全ての感情を捨て、抜け道もありません。お前の正体はすでに分かっています。今すぐ私の前から消えなさい」

 悪魔は蓮花色が自分の事を全く怖がらず、恐れる心もなく、これ以上邪魔しても無理だということが分かると、がっかりして去って行ったという。

 恐れることの原因は、その恐れる心にあります。その心を取り除くことによって、自分を恐れさせる存在がなくなるのです。

(翻訳編集・蘭因)