習近平国家主席、香港問題に異例発言

【大紀元日本9月24日】政府白書や行政長官新選挙制度の発表で香港への高度な統治権を再三示唆している中国政府。「一国二制度に背反する」と香港市民が抗議活動を繰り広げる中、習近平国家主席は22日、北京を訪れた香港財界代表団との会見で、香港の民主主義発展を支持する発言を繰り返した。前後矛盾とも言えるこの応対について、中国問題専門家は「香港に対する一連の強硬姿勢は習氏からではなく、対立する江沢民派からと読み取れる」と解説した。

中国政府系メディアの報道によると、習主席はこの日の会見で「中央政府の香港に対する基本方針・政策は変わっていないし、変わることはあり得ない」と述べたほか、(香港の高度な自治を確約する)一国二制度と香港基本法を堅持することを再三強調した。

報道をみる限り、習主席は情勢不安の元である白書と新選挙制度には触れていない。「共産党政権の慣例では極めて異例だ。これらを支持していないとも読み取れる」と中国問題専門家はいう。

6月初旬から、「香港の高度な自治権には中央政府の承認が必要」と一国二制度の定義を事実上改ざんした香港白書と、民主派の出馬を事実上不可能にする香港次期長官選の新選挙制度の発表を受け、香港市民は強く反発し、51万人参加のデモや、大・高校生の授業ボイコットなど大規模な抗議を繰り広げ、10月1日には金融街セントラルでの座り込み抗議運動も予定している。民主派団体は「最後まで戦う」と譲らぬ姿勢をみせている。

当初から、習近平政権は香港の情勢不安を絶対に望んでいないと指摘する大紀元時報米国本社のコラムニストは「白書も新選挙制度も江沢民派が習氏を困らせるために撒いた火種だ」とみている。

今回の習主席の姿勢表明は、香港市民の不安を払しょくするとともに、江沢民派をけん制するためとも思われる。

(翻訳編集・叶子)
関連記事
中国共産党はWHOを代理人とし、米国に対する「ハサミ戦略」を始めるだろう。新たに進められているパンデミック条約がその引き金となる。
韓国最大の太陽光発電メーカーであるハンファ・ソリューションズ傘下のQcellsは中国江蘇省啓東市にある工場を6月30日に永久閉鎖する。
中国共産党の国家安全部が主導する研究機関は、AI技術とビッグデータを利用してカナダの華人議員の個人情報を密かに収集している。
米イエレン財務長官の最近の訪中は、新たな貿易戦争の予兆であるとする見方がある。イエレン氏は中国当局に対し、ダン […]
全世界の軍事費支出が9年連続で増加し、過去最高値を再び更新したことが明らかになった。スウェーデンに本部を置くシンクタンク「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)」が22日(現地時間)に公開した報告書によると、昨年の全世界の軍事費支出規模は約2兆4400億ドル(約772兆円)に達すると集計された。