「国連は臓器収奪の中国調査を」医学倫理組織や人権団体が促す

【大紀元日本7月3日】中国で法輪功学習者など受刑者の臓器が臓器移植手術用に収奪されているとの疑惑について、関連医師会や人権団体などが6月24日、ジュネーブの国連事務所で会合を開き、中国への問題調査を国連に再度促した。

国際的な医学倫理組織「臓器強制摘出に反対する医師の会(DAFOH、米ワシントン拠点)」や「国際人権協会(ISHR、仏パリ拠点)」など複数の団体が会合に参加した。会合でDAFOH欧州代表リー・ヒューゲ医学博士は、同疑惑を立証できるとする証拠を説明し「問題の浮上から10年近く経過したが、国連は然るべき調査を行っていない」と苦言を呈した。

2012年から同医師会は中国の強制臓器収奪の停止を世界中に働きかけてきた。同年に国連弁務官へ中国調査を要請し、同時にこの問題の犠牲者となっているとされる気功団体・法輪功への弾圧停止を訴えた。また署名運動も世界50カ国以上で行われ、この度の会合では有志者200万人以上がサインした署名書を会合参考書類として提出した。

DAFOH法律顧問カルロス・イグレシアス弁護士は、中国の臓器収奪は「新しい大虐殺」と形容する。「真善忍で精神修養しているだけで、法輪功学習者は『生きた臓器バンク』にさせられた。1億人の罪のない中国市民に対する迫害は、大虐殺という言葉以外に定義出来ない」「歴史上最も残忍で静かな弾圧が、我々の目に見えない形で行われている」と述べた。同氏はスペインで、法輪功迫害に関して中国当局を追訴している。

国連で同問題についての調査催促があったことについて、故趙紫陽・元中国総書記の秘書で元共産党中央委員会委員の鮑彤氏は大紀元の取材に対し「中国政府は国際社会の告発に説明する義務がある」と述べた。

国際社会のこれらの動きについて、鮑氏は「法輪功弾圧は完全に人権侵害で、人類に対する反逆罪であり、主導者らの法的責任を追及しなければならない。最高指導部は高まる臓器収奪の疑惑について説明する義務があり、事実を公開するべきだ」と述べた。

米国の共和、民主両党の下院議員も、臓器収奪問題への調査や法輪功弾圧の停止を求める決議案を出し続けている。昨年7月末可決の281号決議に続き、今年6月下旬にも343号決議が下院議会に提出された。

法輪功は中国の伝統気功であり90年代末には1億人の学習者がいたとされる。当時の江沢民政権は、拡大していく法輪功の人気を恐れ、また共産党理念に反するとして1999年7月に迫害を開始した。

米国シンクタンク・ブルッキングス研究所元研究員で中国臓器収奪問題を調べるジャーナリスト、イーサン・ガットマン氏によると、法輪功迫害が始まってから中国臓器移植件数は激増したと、自身の著書『大虐殺』で伝えている。同氏によると2000年~2008年まで、約6.5万人の法輪功学習者が臓器摘出されたという。

(記者・李孜、翻訳編集・叶子)
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