離脱運動に拍車をかけたといわれる「九評共産党」の邦訳版(大紀元)

中国三退者数2億を超え 専門家「重要な意義を持つ」

大紀元本部が2004年11月19日にシリーズ社説「九評共産党」(共産党についての九つの論評、以下、九評)を発表し、公式サイトで中国共産党とその関連組織(共青団、少先隊)からの離脱声明(以下、三退)受付のプラットフォーム立ち上げ後、今年11月中旬までに約2億1900万人の中国人が仮名または本名で三退を表明した。中国問題専門家は「このことは中国の今後の行方に重要な意義を持つ」と指摘する。

九評は中国共産党設立後の歴史を詳細に記録、その本質や中国社会にもたらした負の影響を分析、政権の崩壊をも予言した。海外では出版されているが中国では禁書である。

まずは共産党の関連組織を概略的に説明する。少先隊(中国少年先鋒隊)とは6~14歳の少年全員が参加する組織で、学校内で「国のために戦った兵士の血で染められた」赤いネクタイを常時つけるのが義務である。共青団(中国共産主義青年団)とは14~28歳の「有望な人材」を吸収する組織。共産党とこれらの関連組織に加入する際、みな「共産主義のために一生を捧げ、命をも惜しまない」という誓いをしなければならない。三退とは、この誓いを消し、これらの組織から離脱を表明すること。中国政府にばれるのを避けるため通常仮名で行う。

九評を読んだ人の多くは離脱声明で本音を綴った。2005年5月16日に集団で三退を行った、中国共産党の高級幹部を養成する機関・中央党校の幹部という25人がこう書き記した。「我々の中には、『老革命』『老幹部』「老党員』もいれば、若手の博士、修士もいます。私たちの知る限り、党校の2千人余りの職員のうち、可能なら9割以上が離脱声明を出すでしょう(注、三退プラットフォームにアクセスするには、中国政府のネット検閲のファイアーウォール(Firewall)を突破する技術が必要で、一般の中国人にはできない)」

世界各国の観光名所で中国人観光客の三退を受付するボランティアの話では、時にはツアー客がグループで申し込みする。「海外に出て、九評を読み、中国共産党の洗脳教育から目覚めた人が増える一方だ。本名を使う人も少なくない」という。

英語や日本語などにも翻訳されている九評。大紀元本部の専属コラムニストは中国人向けだけではないと説明する。「国際社会は、経済と軍事面において強くなる共産党専制体制が人類の平和への最大の脅威であることをまだ十分に気づいていない。九評は中国共産党の本質を正しく見極めるのに大いに役立つ」と述べた。

中国政府の2014年末時点の統計では、党員数は約8800万人。中国問題専門家は「三退者数が2億人を超えたことは重要な意義を持つ。今後、さらに急ピッチで増えるであろう。東ヨーロッパの共産圏諸国が消えた当時、脱党者の比率はこれに及ばなかった。九評が予言した中国共産党政権の崩壊は刻一刻と迫っている」との見解を述べた。

(叶子)

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5000年来、中華民族は黄河と長江が育んだこの地に生まれ、生活し、数十の王朝を経て、輝かしい文明を築き上げてきた。その間、栄枯盛衰を繰り返しながら、怒涛の如き壮大なる、感動の絵巻を展開してきた。
「説文解字」によると、「党」という字は、即ち「尚(なお)黒(くろ)」の二文字からなる。「党」、「党人」など、中国語の.中では貶す意味がある。孔子曰く「君子は矜(きょう)にして争わず、群して、党せず」。「論語」の注解よると、党とはお互いの悪と不正を隠し合うものである。中国の歴史の中にある小さな政治集団は、「朋党」とよく呼ばれるが、中国伝統文化の中では、良くない概念であり、徒党を組んだ悪い仲間という意味である。「党を結び」というと、「私利を営む」ことが連想される。