【エッセイ】蕎麦 ー江戸庶民のファストフード  

東京の人口は、現在1300万人余り。ニューヨークと共に世界で最も人口の集中する都市となったが、旧くは江戸と呼ばれ、寂れた東の最果ての地でしかなかった。

この江戸の地を劇的に変えたのは、太閤秀吉によって三河、駿河、遠江、甲斐、南信濃、の所領から、後北条氏の関八州に国替えを命じられた徳川家康である。

若い頃から人質に出され、苦労を重ねてきた家康が府に入り、まず着手したのが江戸城に流れ込む平川に神田川の切り通しを設けて隅田川に水を流す土木工事だ。これが後々の幕閣により利根川の流れを東に変えて氾濫を防ぐ灌漑事業の「利根川の東遷」にまで発展した。

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