衆院選が左右するトランプ氏の北朝鮮戦略、アジア専門家が指摘

Michael Connor

[ニューヨーク 18日 ロイター] – 22日投開票の衆議院選挙で、安倍晋三首相率いる与党が後退するなら、北朝鮮の孤立化を狙う米国の計画はとん挫し、アジアの地政学は揺るがされかねないと、作家でアジア専門家のリチャード・マクレガー氏は18日、語った。

各世論調査によると、安倍氏の連立与党は勝利する見通しだが、議席を減らすなど後退した場合、憲法改正や消費税の税率引き上げという同氏が掲げる公約の実現に向けた動きが鈍る可能性がある。

フィナンシャル・タイムズ紙の元北京支局長で「Asia’s Reckoning: The Struggle for Global Dominance」の著者であるマクレガー氏は、ロイター・グローバル・マーケッツ・フォーラムで、北朝鮮問題について、安倍首相が近いうちに中韓との3カ国会談の席に着くとみていると述べた。

同氏とのやりとりは以下の通り。

──日本の衆院選後に起こり得る問題は何か。

日本と中国は、直近では2012年に悪化した関係の修復に努めているところだが、衆院選でサプライズが起きれば、そのプロセスは遅れる可能性がある。

北朝鮮情勢が喫緊の大きな問題であり、安倍首相はトランプ米大統領と緊密に連携している。米国との協力関係もリセットせざるを得なくなるかもしれない。安倍氏はトランプ氏と最も近い関係を築いた世界のリーダーだということを忘れてはならない。

──安倍氏が政権にとどまるなら、地域の主要国のあいだで何が起きるか。

北朝鮮を巡っては、日中は緊密に協力してこなかったが、地域的問題を話し合うため日中韓首脳会談の開催を模索している。この3者会談によって北朝鮮問題が解決するとは思わない。そこで解決策が見えてくることはないだろう。

だが、日中韓が再び対話を始めることには大きな意味がある。これまで空白があった。経済関係強化に向けた話し合いも可能だろう。

──向こう数十年において、米国はアジアでどのような役割を担うか。

第2次世界大戦終戦後のパックス・アメリカーナ(米国主導の世界平和)が終わりを迎えたことは間違いない。このように長きにわたり続いてきたことは意外だった。自然の道理ではない。

中国は当然、アジアの支配者でありたいと考えている。だが、米国がアジアを去ることはないだろう。多くのアジア諸国が中国を信頼しておらず、米国がとどまることを望んでいるからだ。

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