在日華僑の子供たちの嘆き - もう中国には行きたくない!(下)

共産党政権が中国本土を制圧してから2018年に69年、日中国交正常化からは46年が経つ、中国で生まれ育ち、この30年ほどの間に自ら渡日した華僑の親たちにとっては、懐かしい故郷である中国も、日本で生まれ育った子供たちの目には、とても理解できない、二度と行きたくない国と映ることが少なくないようである。前回に引き続き、中国語新聞紙「中文導報」が報道した、そのような華僑の子供たちのもう一つの事例を紹介する。

劉立萍さん(仮名)は一男一女の母親である。劉さんは子供たちが幼い時から、中国にいる実家の母親を頻繁に訪れ、それは子供たちにとって最もうれしいことだった。しかし子供たちが中学生頃になると、父母と一緒に中国の親戚のもとを訪れるのを嫌がり始めた。劉さんが理由を尋ねても子供たちは答えず、ただ行きたくないと言うだけだったが、ある時、とうとう娘が理由を語った。それは、伯母や叔父が彼女を「小日本」と呼ぶのがいやだから、というものであった。娘が従兄といっしょに日本対中国のバレーボールの試合を見ていた時も、従兄は何度も「やっちまえ、小日本を打ちのめせ、日本のばか者共を打ちのめせ」と言っていたという。これが彼女にとって非常に居心地が悪かったのである。娘は母親にこう言った。「おかあさん、私、中国語はいつもあまりわからないけど、従兄が言った言葉はみんなわかったよ。従兄は中国チームを応援していたけど、日本や日本人をとても嫌っていることが言葉に表れていたの」。

息子が中国に行くのをいやがるのは、従妹と勉強を比べられることが原因であった。従妹は息子と同じ年である。息子が小学生だったころ、劉立萍さんは子供を連れて夏休みを中国の実家で過ごすのだが、そのとき息子に宿題を持って行かせていた。従妹といっしょに宿題をさせていたある時、従妹が息子と競争しようと持ちかけた。劉立萍さんの息子がすかすかに日本語の漢字を1頁ほど書いたのに対して、従妹は2頁にわたってびっしりと漢字を書いた。おばあさんは、従妹は幼稚園児のときにすでに字を書くことを学び、学校へ行くと字を書くのが早くて上手になり、しかも唐詩や宋詞を暗唱でき、バイオリンも弾けるから、とても賢いよと言った。それ以来、彼が中国へ行くたびに「勉強がよくできるのは日本の生徒か、それとも中国の生徒か」と、従妹といつも比較されるようになった。息子はそれが嫌だから中国に行きたくないというのである。

 

劉立萍さんは中学三年生の娘や小学六年生の息子が中国に行きたがらないのは言葉での交流に支障があるからではないかと考えていたが、このような理由を聞いて、夫ともども頭を痛めている。「文化の衝突、生活環境や価値観、習慣の違いを子供たちはこんなに早いうちから感じ取っています。日本で生活してきた世代は父母が育った故郷での生活に対してさえ、疎遠になりかねないのです」。

対外的には中日友好という言葉を使って平和な交流を促進するように見せかける一方、自国内では子供たちが日本に対する侮蔑や憎悪、反感を持つように学校で洗脳的教育を行い続ける中国共産党。劉立萍さんの親戚たちが、児童の個人差を無視して彼女の息子と従妹との学業成果を執拗に比較しようとするところに、侮辱相手である日本に負けるなという反日思想が垣間見える。江沢民が国家主席となった後、この反日教育はますます盛んになった。その結果として2004年のサッカーアジアカップでの日本チームや日本人に対する中国人の悪劣な行為などが中国全土で繰り広げられたことも記憶に新しい。

共産党幹部たちが自分たちの権力闘争に人々を無理やり引きずり込んだ結果、数千年も続いた伝統文化や信仰などが徹底的に破壊され、おびただしい数の中国人たちが犠牲となった文化大革命から今年で40周年。共産党政権維持のために自国民を愚民にするための教育はその頃からまったく変わっていない。

(2007年2月7日の記事を再掲載いたしました)

                                                                 (記者 微好)

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