中国主導の経済サミット「一帯一路」が北京で2017年5月15日、16日に開かれた。会場外(Getty Images)

英首相、「一帯一路」共同文書に署名せず 中国の「欧州分断工作」に広がる危機感

英国のメイ首相はこのほどの訪中で、中国とは「黄金時代」と良好関係をアピールする一方、中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」を全面的に支持する覚書の署名に応じなかった。訪問中、90億ポンド(約1兆4000億円)超相当の契約に締結したものの、中国の拡張路線への不信感を改めて示したものとなった。英BBC中国語版が1日報じた。

メイ首相は北京で1月31日、中国の李克強首相との会談で、構想について前向きの姿勢をみせた。しかし、透明性や環境基準などへの懸念を示し、「国際基準に合致するよう」にと求め、協力強化などを盛り込んだ「一帯一路」構想の覚書には署名しなかった。

昨年5月、北京で開催された「一帯一路」国際協力サミットフォーラムでは、英国をはじめ、ドイツやフランスなど一部のEU加盟国が中国との貿易推進に関する文書への署名を拒絶した。

▶ 続きを読む
関連記事
インドネシア政府は、総額73億ドルを投じた「フーシュ(Whoosh)」高速鉄道プロジェクトをめぐり、北京との間で緊急の債務交渉を行っている。
中国が進める一帯一路のインフラ事業を巡り、参加国から不満や反発が相次いでいる。一帯一路は過去の案件への追及に縛られ、かつての『世紀の事業』から『世紀の重荷』へと変貌しつつある。
中国の三峡ダムが一帯一路参加国に広がっている。建設計画を詳しく調べると、ダム建設による利益はほとんど無いに等しく、国の威信や政治的圧力、宣伝効果のために建設が進められたものが大半を占めるという。
米国との貿易摩擦が一時的に緩和する中、中共は南米における影響力の拡大を継続しようとしている。
設計改ざん、署名偽造、基準未満の建材使用──中国主導の粗悪インフラ輸出