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ねつ造された世界観 あなたの考えにも影響が?

メディアネットの発達により、一瞬にして世界の政治情勢やトレンドが把握できる時代。この情報網から得られる知識が、私たちの世界観を形成している。しかし、これらの情報が意図的に操作されているとしたら…?水面下で行われる、恐るべきソフト・パワーの正体とはー。

国家レベルでのソフト・パワーの代表的な例は、ロシアのインターネット・リサーチ・エージェンシーが米大統領選に関する書き込みを拡散し、意図的に有権者たちをミスリードしていたとされる事件がある。また、中国政府に雇われたプロパガンダ要員が、ネットへの一投稿につき50セントの報酬で、中国共産党を擁護し、反米・反日の世論をあおっていたことも記憶に新しい。

しかし、これらの心理戦は、何も国家レベルに限られたことではない。一般的な利益集団、反社会組織、政治団体が「心理戦のプロ」を雇い、現代のメディアやネットを動かしているのが現状だ。習慣、制度、システム、社会のリーダーたちを、市民がどのように「理解するのか」。一般市民の心理に、ひっそりと、しかし強く働きかけるのは、彼らである。外国がある国家を侵略しようと思えば、その市民の「心と精神」を侵略すればよいと言われている。戦争するまでもなく、まさにソフト・パワーによってその国家を略奪できるのだ。

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社会を分断させるのも、ソフト・パワーのなせる業(わざ)である。利益集団は、あるシンボリックなロゴや旗を作ったり、衝撃的な事件をでっち上げたりして、市民の注目を集める。これらの事件や運動が、深刻な社会現象であると印象付けるためだ。

もちろん、この印象付けをするのは、利益集団から高額な報酬を得ているメディアやコメンテーターたちである。メディアが報道すれば、その社会問題はさらに強調され、ネットによってその問題が市民の間に広がっていく。一部の政治家がその社会問題を吸い上げ、法案の可決に動くという仕組みだ。

これは、テロ組織にも使われているやり方である。まずプロパガンダを広め、市民の間に分断や憎しみをあおる。テロ組織がそのプロパガンダに乗じて行動すると、一部の市民はもちろん反発する。しかし、テロ組織は「差別だ」「偏見だ」と攻撃し、反発する声を黙らせる。ポリティカル・コレクトネス(政治的に正しい言葉遣い)を武器に、自分たちのアジェンダを推し進め、達成していくのだ。

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あらかじめ計画された「事件」には、扇動者が投入されていることもある。米民主党に近いコンサルティング会社、デモクラシー・パートナーズ(Democracy Partners)の創立者の一人、スコット・フォバル氏(Scott Foval)は、2016年の米大統領選の時に扇動者(アジテーター)を雇い、トランプ支持者の集会で暴力的な行動をさせたと告白している。彼は何週間も前からアジテーターとして訓練された人間を投入し、暴力的な行為をあおったと話す。彼が雇った人の中には、「精神病者」や、「ホームレス」がいたことも告白している。

(※おとり取材で暴露した内容がネットに公開された後、フォバル氏はコンサルティング会社を解雇されている)

一方、フォバル氏らの戦略に乗ったのは、米メディアである。ニュースキャスターは、こぞって「トランプ側の支持者は暴力的だ」というトーンでニュースを報道した。この印象操作は、その後、メディアが物語を形成していく上で大きな影響を与えていく。テレビ討論だけでなく、Facebook、TwitterをはじめとしたSNS上で際限なく拡散され、人々の心理に作用するのだ。

フォバル氏は、これを「カオス戦術」と呼ぶ。偽の事件や印象操作によって社会をカオス(混沌)に陥れ、それに乗じて新しい習慣、考え方、制度を提案する。最終的に、利益集団は自分たちの目的を成就させることができるというわけだ。

この戦術は、ソフト・パワーのほんの一部にすぎない。あなたが誰に投票するのか、何をしたいのか、何が必要で、何が必要でないのか、誰を好きなのか、嫌いなのか―すべてがひっそりと、巧みに、利益集団が好む方向へと仕向けられる。なにせ、彼らは心理戦のプロなのだから。

私たちの世界観を作る情報は、巧みに操られている。あなたが信じている「現実」は、真実なのか、虚像なのか?じっくりと自分に問うことがあってもいいだろう。

(Epoch Times ジョシュア・フィリップ/翻訳編集・郭丹丹)

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