漁をするスリランカ市民スリランカ(LAKRUWAN WANNIARACHCHI/AFP/Getty Images)
一帯一路

中国紙、債務外交批判で日本に矛先 専門家「日本と中国は違う」

中国主導の現代版シルクロード構想「一帯一路」は、関係国のインフラ建設で、返済能力を度外視する融資を結ばせているとして、英語圏有力紙は酷評している。中国官製紙は最近、この「債務トラップ外交」と呼ばれる批判をかわすため、発展途上国に借款を結ぶ日本を例にあげ「なぜ西側諸国は日本を責めないのか?」と矛先を日本に向けた。専門家は、「日本と中国の手法は違う」と反論した。

特集:一帯一路 スリランカ、中国「負債トラップ」が露呈 財政難に

スリランカは、一帯一路構想に基づくインフラ整備を受け入れ、巨額融資を受けて同国第3の国際港コロンボ港を建設した。しかし、国の経済規模にふさわしくない巨大港の未熟な運営計画により、返済目途が立てられない。このため政府は2017年7月、同国主要の国際港であるハンバントタ港を、中国側に99年契約で運営権を貸し出した。

▶ 続きを読む
関連記事
政情不安定が長引く、インド洋中心に位置する群島国家モルディブで2月中旬、中国海軍フリゲート艦が東インド洋を航行したもよう。同国では外国人の土地購入を許可すると憲法が改正され、港湾を中国国営企業が融資し拡張工事も行われており、中国共産党政権寄りが色濃くなっている。海洋戦略においても中国とインドによるにらみ合いが続いている。
チリ政府は2月28日、6.5億米ドルを投じて、中国企業・ファーウェイ(華為技術・HUAWEI)に共同委託している2万キロ以上もの光ファイバー通信網プロジェクトの着工を正式に発表した。この通信網が敷かれるチリ南部は、南極へのハブ港もあり、英米の科学研究所や軍事施設も点在する。専門家は、中国資本のインフラ構築は、ラテンアメリカのみならず米国の安全保障と戦略的利益を脅かす恐れがあると指摘している。
国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は4月12日、中国の野心的な世界規模インフラ構想「一帯一路」について、計画に関わる国に「負債が多すぎる」と警告した。
中国の銀行幹部や政府研究者の話によると、中国共産党政府主導の現代版シルクロード構想「一帯一路」について、プロジェクトに係る国は経済貧国が多く、資金調達には深刻な課題があると指摘している。
オーストラリアの民間テレビ局は、中国の外交政策の問題点を取り上げた時事評論番組の予告放送をしたところ、在キャンベラ中国大使館から放送しないよう強く求める電話があったことを明かした。電話を受けたプロデューサーによると、この外交官の態度は高圧的で怒鳴っていたという。テレビ局は、予定通り番組を放送する姿勢だ。このテレビ局と同じメディアネットワークの9ニュースが報じた。
61年振りに政権交代したマレーシアのマハティール政権は、ナジブ前首相と中国共産党政府が契約した、2つの一帯一路プロジェクトである計4兆円相当の鉄道計画を中止と見直しを発表した。国内の専門家から、親中ナジブ前政権のように政治腐敗と巨額負債を促すとの声が強まっていた。ナジブ氏の逮捕により、さらに負のイメージが色濃くなる一帯一路。中国政府は内外の情報に敏感になり、宣伝報道を抑えるようメディアに指示している。