一帯一路

スリランカ、中国「負債トラップ」が露呈 財政難に

2017年07月31日 20時05分

 スリランカは深刻な債務問題のため、不況に陥っている。過去10年で膨大なインフラ建設に数千億円が投じられているが、計画の大半は利益を出せていない。スリランカ政府は現在、重大な債務危機に直面している。

 インドのメディア「ポストカード」は7月27日、スリランカの国の総債務は6兆4000億円にも上り、全政府収入の95%が、借金の返済にあてられていると伝えた。うち中国からの借入は8000億円にもなる。同国財務相は「完済に400年かかる、非現実的だ」と答えた。

 スリランカ経済は、社会主義政権国の特徴で、国有企業が経済に強く介入し、財政支出過多となり赤字が膨らんでいく。中国からの融資と利子に悩まされる国有企業に慢性的な経常赤字が続けば、国家破たんのリスクも増大していく。

抜け出せない中国債務トラップ

 中国は、スリランカを含むインド洋沿岸の国を海上輸送の要衝として次々と港湾を建設。インド沿岸をぐるりと囲むため「真珠の首飾り」戦略といわれる。また、ユーラシア大陸をつなぐ巨大経済圏「一帯一路」においても、スリランカは重要ポイントとなる。

 一帯一路に参加する国に対して、中国は港湾、空港、大型高速道路など戦略的に巨額融資を行っている。返済しきれない負債を負わせることで、中国の経済、軍事、政治事情に従わせる、いわば「トラップ」となる。一連のインフラは中国企業が手掛け、融資し、中国の利益を生み出す目的で建設される。

 「ポストカード」によると、たとえば、スリランカ南部のハンバントタ港は2010年、中国側から建設費用の85%を借款して、国有企業・中国港湾工程公司が建設した。しかし、年利6%以上の高利で、わずか「一日一隻」という利用率だ。

 この港から北へ30キロ、マッタラ国際空港がある。同じく建設費の9割ほどが中国の融資で、中国港湾が建設担当。しかし、蓋を開ければ開業後の月の収入はわずか約1万5000円程度。米フォーブスに2016年「世界で最も空いている国際空港」などと評された。

 親中派の前ラジャパクサ大統領(2005~2015)は、三期当選を可能にする改憲を強行するも、汚職・独裁といびつな親中政策により大統領選で敗北。現地メディアは、前大統領の地元であるハンバントタ県に、現地経済にそぐわない港湾と空港が建設されたのは、同氏の意向があったとみられている。

脱中国依存の政権も方向転換せざるを得ない

2017年1月、中国投資の開発が進むスリランカのハンバントタで、現地市民や僧が抗議し、軍が放水で強制解散させる(ISHARA S. KODIKARA/AFP/Getty Images)
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