来週にもタイ当局は、タイ・バンコクで建設中だった政府庁舎ビルが倒壊した事故で、関係者の大規模逮捕に踏み切る見通しだ。
3月28日に発生したこの事故は、ミャンマー中部の地震を契機に起きた。震源から約1000キロ離れた首都バンコクで唯一倒壊した建物は、中国国有ゼネコン「中鉄十局」が施工を担った33階建ての政府庁舎だった。
タイ特別調査局(DSI)と警察はすでに193人からの事情聴取を終え、設計・施工・監理に関わった関係者のうち、「職務怠慢」や「不正行為」の疑いがある者に対し、来週以降、逮捕状を出すと発表した。
調査では、設計図の不適切な変更や、施工文書の署名偽造などが確認され、建築基準に満たない資材の使用も指摘された。
倒壊事故の死者は89人に達し、地元当局は5月10日、捜索活動の終了を発表したものの、今なお7人が行方不明だ。4月には、中鉄十局のタイ現地法人幹部がすでに逮捕されている。
「安く、早く」を売りに世界へ広がった中国式インフラ事業だが、その背後に潜む“見えないコスト”を、命という代償で払わされるのは、いつも受け入れ側の国民であった。
今回の崩壊事故は、「一帯一路」政策のもとに広がってた中国主導の粗悪インフラ輸出に対し、その安全性や品質管理に懸念を投げかける国際的な警鐘となっている。国際社会がこうしたリスクを見過すれば、同様の惨事が再び繰り返される可能性も否定できない。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。