米国で物議呼ぶ「3D銃」、製造法公開を差し止め

[31日 ロイター] – 8月1日に予定されていた3Dプリンターを使った拳銃製造方法のインターネット公開について、米シアトル連邦地方裁判所は前日の31日、公開の差し止め命令を下した。

米連邦政府は6月、テキサス州オースティンに拠点を置く団体「ディフェンス・ディストリビューテッド」が、3Dプリンター銃の製造方法を合法的に公開することを認めたが、首都ワシントンとその他8州は今月30日、この公開差し止めを求めて訴訟を起こしていた。

この問題を巡り、トランプ大統領も31日、強力な銃ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」と話をしたことを明かし、3D銃の製造方法をネット公開することに対して疑問を呈していた。

「3Dプリンターで製造されたプラスチック銃が一般に販売されることについて目を向けてみた。NRAとすでに話したが、あまり道理にかなっているようにはみえない」と大統領はツイッターに投稿した。

銃規制支持者は、3Dプリンターで作られた銃について、追跡不可能で、世界の安全保障に脅威をもたらす、検知不能の「ゴースト銃」になると懸念している。一方で、こうした技術は高価だが、3D銃は信頼できず、その脅威は誇張されていると主張する銃の擁護団体もいる。

3Dプリンター銃とはどういったものか、またどのように作られるのかを以下にまとめた。

●3D印刷とは、3次元のデジタルモデルをベースに立体物を作る技術であり、プラスチックや金属など材料の層を積み重ねて造形する。1980年代に初めてこの技術の特許が認められた。2009年に初めて商業用3Dプリンターが発売され人気となった。

●業務で使われることが多いが、個人でもデスクトップ3Dプリンターの購入は可能だ。調査会社コンテクストによると、デスクトップ3Dプリンターは2015年以降、100万台以上売れている。価格は数百ドルから数千ドルと幅広い。

●ほぼ完全に3Dプリンターで製造された世界初の銃「リベレーター」は2013年に発表された。撃針以外は3Dプリンターで作られた部品で、装弾数は1発のみ。従来の小火器に使用される金属部品と3Dプリンターによって作られた部品を組み合わせたハイブリッド設計だ。

●リベレーターのような自家製の銃はしばしば「ゴースト銃」と呼ばれる。未登録で追跡できず、製造番号がないからだ。

●リベレーターは、ディフェンス・ディストリビューテッドの創設者で、自称「クリプトアナキスト(暗号自由主義者)」のコーディ・ウィルソン氏が開発。同団体のウェブサイトによると、「アメリカのライフル愛好家のために」活動しているという。

同団体はまた、自動小銃AR─15のロウワーレシーバーなど、軍事レベルの武器部品を組み立てることができる工作機械も販売している。

●米連邦法の「検知されない銃器法」(1988年)は、空港や裁判所といった公共の場で金属探知機で検知できる十分な金属を含まない銃を禁止しているが、金属部品を取り外し不可とすることは義務付けてはいない。

3Dプラスチック銃メーカーは、機能には影響しない金属を挿入することで、この抜け穴をうまく利用している。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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