北朝鮮の脅威変わらず、非核化見極める必要=18年版の防衛白書

[東京 28日 ロイター] – 政府は28日、2018年版の防衛白書を公表し、北朝鮮の脅威に変化はないとの情勢認識を示した。6月の米朝首脳会談以降、ミサイル発射などの挑発行動はみられないものの、非核化に向けた具体的な行動を見極める必要があるとしている。

白書では、北朝鮮の金正恩委員長が、完全な非核化に向けた意思を文書で約束した意義は大きいと評価。一方、日本を射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」を実戦配備しているとみられること、累次にわたる試射で運用能力が向上していることを踏まえ「北朝鮮の核・ミサイルの脅威についての基本的な認識に変化はない」とした。

米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発は、搭載する核兵器の小型化・弾頭化を実現した可能性があるとしながらも、いったん宇宙空間に出た弾頭部を大気圏に再突入させる技術を取得したかどうかは、引き続き分析が必要とした。

小野寺五典防衛相は同日午前の会見で、「対話で解決に向かうことが重要だが、現時点で北朝鮮の核・ミサイル廃棄に向けた動きはみられない」と語った。

白書は前年版に引き続き、中国の動きについても大きく取り上げ、「一帯一路」構想が、インド洋・太平洋における軍の活動を後押しする可能性があると指摘。また、無人機や人工知能の開発が急速に進んでいること、そうした技術が軍事転用されることに警戒感を示した。

*内容を追加しました。

(久保信博 編集:田巻一彦)

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