トルコ、リーマンショックの教訓を最も学ばなかった新興国=EBRD

[ロンドン 13日 ロイター] – 新興国のうちリーマンショックの教訓から最も学ばなかったのがトルコで、逆に一番対策を講じたのがロシア──。欧州復興開発銀行(EBRD)のチーフエコノミスト、セルゲイ・グリエフ氏は13日、ロイターのインタビューでこうした見方を示した。

グリエフ氏は「新興国にとって(リーマンショックの)主な教訓は、自国に厚みと相当な規模を持つ金融市場を構築する必要性だ。それがないと、他国で発生した問題が外的ショックとして波及し、危機を迎えてしまう」と語った。

こうした発言は、世界的な超低金利局面でドル建て債務を膨らませ過ぎた国に対して国際決済銀行(BIS)や国際通貨基金(IMF)が行った警告とも相通じる。

現在ドルが上昇し、債務返済のために外貨準備の目減りを余儀なくされているからだ。その一例がトルコで、通貨リラが急落している。

グリエフ氏は「(トルコが抱える問題は)高水準ドル建て債、中央銀行による独立した決定権と物価目標の欠如で、それがユーロ建て金融市場を消し去り、リラの金融商品のデュレーションを短縮化し、債務負担を増大させている」と指摘した上で、「避けることができただけに非常に残念だ」と嘆いた。

同氏は、EBRDのエコノミストチームがトルコ経済に関する11月の次回点検時に、成長率見通しを引き下げることになると付け加えた。

一方でロシアは、リーマンショック以降に通貨ルーブルを変動相場制に移行させ、銀行規制を強化し、ルーブル建て債市場の拡大を推進しており、同氏は新興国が見習うべきお手本だと賞賛した。

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