米政権の「アラブ版NATO」構想、サウジ記者殺害で複雑化=関係者

[ワシントン 8日 ロイター] – トランプ米大統領がイラン封じ込めを狙って進める「アラブ版NATO」構想はサウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏の殺害以前から難航していたが、ここにきて状況が新たに複雑な局面を迎えている。米関係者3人が明らかにした。

カショギ氏の事件でサウジのムハンマド皇太子に対する国際的世論は厳しさを増し、トルコ当局と一部の米議員は皇太子が殺害を命じたと批判している。

「アラブ版NATO」の仮称は「中東戦略同盟(MESA)」。米国がイスラム教スンニ派のサウジ、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、カタール、オマーン、バーレーン、エジプト、ヨルダンと結束し、シーア派のイランに対抗することを目的としている。

しかしサウジが昨年カタールを経済的・政治的に追い込んで以来、同盟の基礎は揺らいでいる。

トランプ政権は来年1月に米国で首脳会議を開催し仮合意を目指していたが、米関係者3人によると今や開催は不透明。首脳会議はこれまでも数回延期されてきた。

ある関係者は、カショギ氏殺害により「アラブ版NATO」推進には非常に多くの解決すべき問題が露呈したと指摘。第一に、ムハンマド皇太子の首脳会議出席にはかなりの反発が予想され、「受け入れられるものではない」という。

トランプ政権のある高官は6日、カショギ氏殺害で同盟推進のプロセスが複雑になったとの見方を否定し、「MESAは1国や1つの問題よりはるかに大きな構想だ」と述べた。

元米海兵隊大将でMESAの首席交渉官であるアンソニー・ジニ氏は、構想は「前進している」がカショギ氏の死の影響は不明と指摘。

ロイターの取材に電子メールで「どのように影響するかはまだわからない。最終的な捜査と決定を待っている。遺体が見つかれば科学捜査が行われるだろうが、それらが完了するまでは待機状態となるだろう」と答えた。

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