EU、米との通商協議加速目指す 年内にも欧州委に交渉指令

[ブリュッセル 9日 ロイター] – 2018年後半の欧州連合(EU)議長国を務めるオーストリアは9日、米国との貿易障壁削減に向けた協議の加速を目指し、今後数カ月間で欧州委員会に対する交渉指令をまとめる方針を明らかにした。

トランプ米大統領は7月、自動車を除く工業製品に対する貿易障壁の撤廃やエネルギー分野、規制面での協力など通商関係の改善についてEUと協議し、双方が交渉を進める間は自動車関税の発動を控えることで合意した。[nL4N1UL601]

オーストリアのシュラムベック経済相は、EU各国の貿易担当相の会合後、記者団に対し、EUは一定の時間を稼いだとした上で、「交渉のペースを加速させる」と言明。「準備作業によって年内および年明けに(交渉を担当する)欧州委員会に強固で明確な交渉指令を示すことができるよう、交渉の範囲や枠組みなどを検討する作業を完了する必要がある」と述べた。

また、EU側は米国産牛肉の輸入クオータ(割当枠)拡大に関する協議を開始することで柔軟性を示したとし、次は米国が行動する番だと述べた。

ロス米商務長官は10月、米国とEUの協議をEU側が遅らせていると批判し、トランプ大統領の忍耐は「無限ではない」と警告した。今後結ぶ合意には農業分野が盛り込まれなければならないとの考えも示した。[nL3N1WX5RW]

マルムストローム欧州委員(通商担当)は14日にワシントンでライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と会談し、医薬品や医療機器、サイバーセキュリティー分野における規制面での協力などを中心に進捗状況を協議する。

マルムストローム氏は記者団に対し「短期で合意できる分野を特定する必要がある」と述べた。その上で、食品安全基準などEUのルールは維持されるとした。

シュラムベック氏は、米国産大豆など限られた例外を除いて農業分野は総じて交渉から除外されると述べ、これははっきりとした「レッドライン(越えられない一線)」だと強調した。

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