欧州司法裁、英国はEU離脱決定を一方的に撤回できると判断

[ルクセンブルク 10日 ロイター] – 欧州司法裁判所(ECJ)は10日、英国には欧州連合(EU)離脱の決定を一方的に撤回できる権利があるとの判断を示した。

ECJは「英国はEUからの離脱の意思の通知を一方的に自由に撤回できる」との判断を示した。

今回の判断は、ECJ法務官が先週示した見解に沿った内容。

離脱反対派の間では、法務官の見解を受けて、国民投票の再実施でEU残留を決められるのではないかと期待が浮上していた。

英議会は11日にメイ首相の離脱協定案を採決する。首相の離脱案には反対の声が多く、離脱案は否決されるとの見方が多い。

スコットランド国民党出身の欧州議会議員で本件をECJに提起したアライン・スミス氏は「ECJがきょう下した判断は、あすの採決を控え英議員らに、いまの混乱を脱する道があるという明確なメッセージを送るものだ。英国が国際舞台に立つため、雇用や経済にとり、トンネルの出口が見えた。あとは英国次第だ」とし、英国が離脱撤回を選択した場合、EU側は英の回帰を歓迎すべきとした。

一方、ゴーブ英環境相は、政府は離脱決定は翻さない方針とあらためて表明した。

ECJは声明で、英は、離脱手続きを定めたEU基本条約第50条の手続きを停止しても、ペナルティを受けないと指摘。「憲法の定めに則り決定した(離脱)撤回ならば、英国が従来と変わらない条件でEUに留まることになる」とした。

EU首脳らは以前より、英国の翻意を歓迎するとの立場を示していたが、EU当局者や法律の専門家からは、離脱手続きの停止には英国を除く27カ国すべてないし大半の承認を必要とするとの見解が示されている。さらに、英国がEUに残留するなら、これまで英国に与えられていた予算などに関する特別な権利を手放すよう求められると指摘するEU高官もいる。

離脱期日まで残された時間は少なく、英国が新たな国民投票を実施するのか、などは極めて不透明だ。

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