米国とEU、トルコのキプロス沖合での掘削計画に「深刻な懸念」

[イスタンブール 6日 ロイター] – キプロスが自国の排他的経済水域(EEZ)とする海域でトルコが海洋掘削を実施する計画を明らかにしたことについて米国と欧州連合(EU)は深刻な懸念を表明し、トルコと西側諸国の間の緊張が高まっている。

トルコとギリシャ系のキプロス共和国はともに、天然ガスの埋蔵量が豊富とされる地中海東部の石油・ガス開発が自国の管轄下にあると主張してきた。

米国務省のオルタガス報道官は5日、トルコが、キプロスがEEZと主張する海域で掘削活動を開始する計画を発表したことを「深く懸念」しているとし、この行為は「極めて挑発的で、地域の緊張を激化させる可能性がある。このような活動を停止するようトルコ当局に強く求めるとともに、全当事者に自制を促す」と表明した。

これより先、EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は4日、トルコの掘削計画に「深刻な懸念」を表すとともに、同国に対して「自制を示し、キプロスのEEZに置ける主権を尊重し、このような違法行為を控えるよう」求めた。違法行為にはキプロスと結束して適切な対応を取ると警告した。

トルコのチャブシオール外相は北キプロス・トルコ共和国で4日、「トルコの大陸棚の区域で掘削を実施する」と表明、同国の地震調査船が特定したポイントで掘削を開始するとしていた。

キプロスの外務省は、トルコの掘削活動はキプロスの主権の侵害だとして強く非難した。

トルコのエルドアン大統領は6日、アンカラで開かれた北大西洋条約機構(NATO)関連会合で、NATOに対し、地中海東部の資源に関するトルコの権利を尊重し、緊張阻止への取り組みを支持するよう訴えた。

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