中国副首相が訪米へ、協議継続で関税引き上げ回避狙う

[北京/ワシントン 7日 ロイター] – 中国は7日、劉鶴副首相が通商協議のため9─10日に訪米すると明らかにした。米国の対中関税引き上げ回避を図る。中国商務省が訪米予定を確認した。劉副首相は当初3日間としていたワシントン滞在期間を2日間に変更するという。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とムニューシン財務長官は6日、トランプ大統領が2000億ドル相当の中国製品に対する関税の10%から25%への引き上げを表明したことに関し、中国側が協議の過程で合意事項を後退させたことを受けたものだと明らかにした。

USTRの報道官は、関税引き上げは米東部時間10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に実施すると述べた。劉副首相の訪米中に引き上げられることになる。

協議に詳しい関係者はロイターの取材に、中国側が「包括的な」課題に対応した政策変更を反映させるため国内法を改正するとした合意を覆そうとしたと説明。わずか2日間の話し合いでこの後退を克服し、補助金やクラウドコンピューティングアクセスといった他の主要課題で合意に至るのは難しいとの見通しを示した。

中国外務省の耿爽報道官は、関税で問題を解決することはできないと指摘。「見解の相違があることは普通のことだ。中国は問題を避けることはせず、真摯な姿勢で協議を継続する考えだ」と述べた。

中国共産党機関紙・人民日報傘下の国際情報紙「環球時報」は、 通商協議のために交渉団を米国に派遣する方針を示したことについて、中国政府が今後も冷静さを維持し「公の場での論戦よりも協議を重視」していることの表れだとする社説を掲載した。[nL3N22J1TP]

人民日報は、中国がこれまでも米国発の同種の脅威を乗り越えてきたとし、冷静さを保つとする論評を掲載。「対米経済・貿易協議の過程で想定されるあらゆる困難、課題に直面できると中国は100%確信しており、常に平静を保つことができた」と主張した。

ウェンディ・カトラー前USTR次席代表代行(現アジア・ソサエティー政策研究所幹部)は、主要な貿易交渉の最終局面で劇的な展開があるのは普通のことだが、中国が文書に関するこれまでの合意を後退させたことは懸念材料だと指摘。

「両交渉団の間に信頼が欠如していることを示唆しており、それを再構築するのは難しいかもしれない」とし、「劉鶴副首相がワシントンに何を持ち込むかに全ては左右される」との見方を示した。劉氏が、中国側はこれまでの合意事項を守る姿勢であるとライトハイザーを説得できれば、交渉は再び軌道に乗り、残る争点を取り上げることが可能になるだろうと述べた。

米中は今週、ワシントンで閣僚級の通商協議を開催することになっていた。しかし、トランプ大統領が、中国製品に対する関税を引き上げるとともに、追加関税の対象品目をさらに拡大する方針を示したことで、中国側が劉副首相の派遣を中止するのではないかとの観測が広がっていた。

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