米メキシコ、移民巡る協議を6日続行へ トランプ氏「進展は不十分」

[ワシントン 5日 ロイター] – トランプ米大統領は5日、移民や制裁関税の問題を巡りこの日行われたメキシコとの高官協議について、不法移民対策に関して十分な進展が得られなかったとの認識を示した。6日もワシントンで協議を続行する見通し。

トランプ氏は5月30日、メキシコが中米などから米国に向かう移民を阻止しなければ、今月10日に同国からの全輸入品に5%の関税を適用すると表明。移民問題で合意がない限り、関税率は段階的に上がって10月には25%となる。

5日の協議はペンス米副大統領が議長を務め、ポンペオ米国務長官とメキシコのエブラルド外相が出席した。

欧州訪問中のトランプ大統領はツイッターに「移民問題を巡るメキシコ代表団とのきょうの協議は終了した。進展しているが、十分と言うには程遠い!」と投稿した。

協議を前にホワイトハウスの当局者は、ペンス副大統領はメキシコ政府が「即座に」講じる用意がある「具体的措置」について説明を受けることを期待していたと述べていた。協議後に当局者からコメントは得られていない。

エブラルド外相は記者会見で、会合は移民問題が中心議題となり、対メキシコ関税については協議しなかったと明らかにした。米国は即座に効果を表す措置を求めたが、メキシコは長期的な解決策を目指していると語った上で、「複数の選択肢が協議された。共通項を見いだすためには(6日に)詳細な検討が必要になる」とした。

対メキシコ制裁関税が発動されれば、米国は主要な貿易相手国である中国、メキシコ両国と深刻な貿易摩擦を抱えることになる。米経済団体はそのような事態の回避を訴えている。また、関税はメキシコの景気後退(リセッション)を招く恐れがあるとアナリストらは指摘する。

ただ、メキシコ政府は合意がまとまらない場合にも備えている。

メキシコの当局者によると、米国が対メキシコ関税を発動した場合に報復関税の対象となり得る米国製品をリストにした公式文書は、トランプ氏の支持地盤とされる農業州や工業地帯が標的になっているという。

トランプ氏の身内の共和党内でも追加関税に異論が噴出している。

上院共和党ナンバー2のスーン議員は記者団に「われわれは政権側に懸念を伝えた。この問題について公式・非公式にホワイトハウスに懸念を伝えた共和党上院議員は何人もいる」と述べた。

ホワイトハウスのナバロ大統領補佐官(通商製造政策局長)はCNNに対し、対メキシコ関税の予告だけで「メキシコの注意を引きつける」のに十分だったため、関税は発動されない可能性があるとの認識を示した。

メキシコ政府筋によると、米国との協議でメキシコ側は、安全保障関連対策のために米国がメキシコに供与している資金をメキシコ南部やグアテマラの経済発展を推進するために使い、移民の根本的な原因の解決に取り組むことを提案している。

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