2019年4月、北京で開かれた一帯一路フォーラムの看板を組み立てる作業員。ドイツ拠点のシンクタンクの調べによると、対外中国債務は世界で10倍上昇している。石油など現物返済や記録なしの「隠れ債務」もあるという(GettyImages)

対中債務、世界で10倍上昇 半分が「隠れ債務」=報告

世界経済に関する調査によると、中国による海外融資は20年あまりで、世界経済の1%から5%以上にまで急速に拡大した。さらに、途上国向け融資の半分程度は、世界銀行やIMFも把握していない、公式記録のない「隠れ債務」を抱えているという。

ドイツ拠点のシンクタンク・キール研究所(Kiel Institute)は7月13日、中国経済について報告した。このなかで、2000~17年の間に、世界各国の対中債務は5000万ドルから5兆ドルまで膨れあがった。

キール研究所は、1949年から2017年にかけて、対中債務を持つ発展途上国50カ国の約2000件の融資と契約を調べ、報告書をまとめた。その結果、債務が国内総生産(GDP)に占める割合が2015年の1%未満から、2017年は15%以上に急増したことが分かった。

▶ 続きを読む
関連記事
インドネシア政府は、総額73億ドルを投じた「フーシュ(Whoosh)」高速鉄道プロジェクトをめぐり、北京との間で緊急の債務交渉を行っている。
中国が進める一帯一路のインフラ事業を巡り、参加国から不満や反発が相次いでいる。一帯一路は過去の案件への追及に縛られ、かつての『世紀の事業』から『世紀の重荷』へと変貌しつつある。
中国の三峡ダムが一帯一路参加国に広がっている。建設計画を詳しく調べると、ダム建設による利益はほとんど無いに等しく、国の威信や政治的圧力、宣伝効果のために建設が進められたものが大半を占めるという。
米国との貿易摩擦が一時的に緩和する中、中共は南米における影響力の拡大を継続しようとしている。
設計改ざん、署名偽造、基準未満の建材使用──中国主導の粗悪インフラ輸出