中国が南シナ海開発で提案、仲裁裁判断無視が条件=フィリピン大統領

[マニラ 11日 ロイター] – フィリピンのドゥテルテ大統領は、中国の習近平国家主席との最近の会談で、南シナ海での中国の主張を退けた仲裁裁判所の判断をフィリピン側が無視することを条件に、同海でのガス共同開発の権益の過半数をフィリピンに譲渡するとの提案を受けたことを明らかにした。

大統領府によると、ドゥテルテ氏は10日遅くに記者団に、仲裁裁判断とフィリピンの領有権の主張を「脇に置く」ことができれば、中国側はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)にあるリードバンクの共同ガス開発事業の権益の60%をフィリピンに譲渡し、残る40%を維持すると習主席が提案したと紹介した。

中国外務省と在フィリピン中国大使館からドゥテルテ氏の発言についてコメントは得られていない。

オランダ・ハーグにある仲裁裁判所は2016年に中国の主権の主張を全面的に退け、フィリピン沖約85キロにあるリードバンクのガス田を開発するフィリピンの権利を明確化する判断を下している。中国はこの判断を認めていない。

ドゥテルテ氏はこれまで、南シナ海での中国による人工島造成などの活動について対立を避けてきた。フィリピンが仲裁裁判断を無視し、中国と協力することに合意すれば、同海の資源を巡り中国と領有権を争ってきたベトナムやマレーシアなどの諸国が不利な立場に置かれることになる。

ドゥテルテ氏は習氏の提案に同意したかどうかは明らかにしていない。ただ、仲裁裁判断のEEZに関する部分については「経済活動を確保するために無視する」と言明した。

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