サウジ石油供給減、アジア諸国は代替確保に奔走 米は輸出拡大へ

[ニューヨーク/シンガポール 16日 ロイター] – サウジアラビアの石油施設が14日に攻撃されたのを受け、主要な石油消費市場であるアジア諸国の製油企業は代替的な供給源を探し、米原油生産企業は輸出拡大に力を入れ、サウジは精製された石油製品の確保に努めるなど、世界各地の国・企業が対応を迫られた。

市場参加者によると、大半の国々は差し当たって石油需要を満たせるだけの在庫を抱えており、企業は既に、軽質原油と石油製品の不足を補うために数カ月後まで見据えた出荷計画を立てつつある。

攻撃で失われたサウジの原油生産は世界の供給量の約5%に当たる。調査コンサルタント会社バーンスタインのアナリストによると、サウジの石油輸出の25%近くに相当する日量170万バレル前後が中国向けだ。

船舶ブローカーによると、米メキシコ湾岸発の貨物の運賃は週末から16日にかけて上昇した。最も輸出が容易なメキシコ湾岸生産の原油は引き合いが増え、一部の油種ではプレミアムが6月以来の水準に跳ね上がった。

プライス・フューチャーズ・グループ(シカゴ)のアナリスト、フィル・フリン氏は「米国産原油の輸出は全開になるだろう。おそらく過去最大量に達する」と述べた。

アジア諸国は、必要なら30日から220日分の原油輸入を補えるだけの戦略石油備蓄を有している。市場参加者によると、ことし製油能力が拡大したため、石油製品の供給も当面は十分だ。

業界の推計によると、中国の戦略石油備蓄は現在約3億2500万バレルで、約33日分の輸入に相当する。

サウジ産軽質原油の輸出が減っても、比較的新しいアジアの製油所なら重質原油の精製が可能だが、軽質原油ほど迅速かつ低コストで処理することは不可能かもしれない。ただ、中国の製油企業は供給確保についてさほど懸念を示していない。

韓国は戦略石油備蓄の放出を検討するとしつつも、供給確保への短期的な影響は予想していないと説明した。インド政府は国内製油企業およびサウジアラムコと協議中だとした。

米国の製油企業はサウジ産原油の利用が3%にとどまっている。

一方、サウジ産石油を取り扱う商社2社によると、アラムコの製油所は一部で稼働率が落ちているため、商社部門アラムコ・トレーディング・カンパニーは既に石油製品の輸入について問い合わせを始めている。ただ、どれほどの量の輸入が必要になるかは明らかでない。

調査会社エナジー・アスペクツの推計では、アラムコの製油能力は日量約100万バレル削減されており、その分、中質および重質の原油が輸出に回る見通しだ。一方でアラムコはガソリンや軽油、場合によっては燃料油を大量に購入する可能性が高い。

サウジ西岸でアラムコと製油所を共同所有する仏石油大手トタルは16日、欧州市場で少なくとも3カーゴ分の軽油を既に購入した。

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