ビッグデータが暴く自称リベラルの正体
第1回のコラム<なぜ人は共産主義に騙され続けるのか>で、左翼活動家はリベラリスト(自由主義者)とは最も遠い存在であるにもかかわらず、リベラルを自称し、その称号を社会的に広く認めさせると述べた。これまでは、それを事例ベースで裏付けてきたが、今回はビッグデータに基づいて、より客観的なエビデンスを提示したいと思う。なお、本稿では便宜上、上述の自称リベラルをリベラルと記すことにする。
昨年、米国のイェール大学から大変興味深い研究成果が報告された。Cydney DupreeとSusan T. Fiskeは、過去25年間、計74回にのぼる米国大統領選挙の演説を調査し、民主党の候補の演説において、聴衆に黒人が多い場合と白人が多い場合とでは言葉遣いが異なるという分析結果を得た。民主党の候補は、聴衆に黒人が多い場合のみ、わざと平易で温かみのある言葉を選び共感を呼び起こすという戦略が用いられていることが見出されたのである。
さらに同研究では、一般の白人被験者に対して、白人らしい名前(Emilyなど)の人物宛と黒人らしい名前(Lakishaなど)の人物宛のメールについて、文面に使う単語を選ばせる実験も行われた。その結果、リベラル派を自認する被験者については、黒人宛の場合、文面に平易な言葉を有意に多用する傾向があることが分かった。具体的には、白人宛の場合は”euphoric, melancholy”のような知性を感じさせる単語を多く用いるのに対し、黒人宛の場合は”happy, sad”のような易しい単語をより多く用いるといった使い分けがされていた。一方、保守派を自認する被験者については、相手によって使用する言葉に違いはなかった。この結果は、普段差別反対を主張しているリベラル派の言葉遣いの中に、むしろ黒人をバカにするような差別意識が見出されることを示している。