国際開発金融機関の一部が重債務国の問題助長=世銀総裁

[ワシントン 10日 ロイター] – 世界銀行のマルパス総裁は10日、アジア開発銀行(ADB)など世銀以外の国際開発金融機関は重債務国に対する融資にあまりにも即座に応じていると批判、一部機関は債務問題を助長していると指摘した。

総裁は世銀と国際通貨基金(IMF)がワシントンで開いた債務に関するフォーラムで、ADBとアフリカ開発銀行(AfDB)、欧州復興開発銀行(EBRB)は債務問題の原因をつくっているとの見方を表明。

「他の国際金融機関(IFI)、ある意味では開発金融機関全体、そして当然ながら政府系輸出信用機関は、融資に即座に応じ、重債務国の債務問題を助長する傾向がある」と述べた。

ADBはパキスタンの困難な財政状況にもかかわらず「何十億ドル」もの資金を供与し、AfDBはナイジェリアと南アフリカで同様の行動をとっていると語った。

ADBの広報担当者からコメントは得られていない。ADBは昨年12月にパキスタンへの13億ドルの融資を承認。このうち10億ドルは財政を下支えするための予算支援で、3億ドルはエネルギー部門の改革に向けたものだった。

パキスタンは一方、中国の広域経済圏構想「一帯一路」を通じた借り入れによって多額の債務を抱えており、昨年はIMFから金融支援を受けた。

マルパス氏は、国際金融機関は融資においてだけでなく、高度な透明性を維持するために連携を強める必要があると指摘。

「IFI自体が債務負担増の原因をつくっているという実際的な問題があり、IMFはこの問題を踏まえ、特定の国の最善の利益を追求する必要性に迫られている」とした。

マルパス氏はまた、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は世銀と同等の融資基準を確立しようとしており、一部の従来型開発金融機関に比べ、引き起こしている問題は少ないと語った。

中国が一帯一路を通じて途上国の一部に過大債務を負わせているとの批判について、同氏は、中国は融資契約を国際的な規範に収れんさせるための道筋を探っているとの認識を示した。

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