【紀元曙光】2020年3月2日

1980年のモスクワ五輪。日本は不参加であった。前年12月に起きたソ連のアフガン侵攻に抗議する西側諸国に同調して、ボイコットを決めたからだ。

▼4年に一度のオリンピックを目指し、青春の全てを懸けて、過酷きわまる練習を積んできた選手たちは、涙を流し絶叫して不参加撤回を訴えた。しかし結論は変わらなかった。

▼当時23歳の若き柔道選手だった山下泰裕さんも、その中にいた。大きな体を直立させ、力強くも礼儀正しい言葉で、出場したい選手の気持ちを、前に居並ぶJOC役員にまっすぐに伝えた。悔しさに肩を震わせる選手たち。その場面を、テレビで筆者も見た。

▼40年前のこの光景が繰り返されるか否か、それはまだ分からない。もちろん今回は、40年前とは全く異なる要因である。日本のみならず、世界各地で中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染が広まっている情況のなかで、実施か、中止か、いずれにせよ最高度の判断をしなければならない。判断の時期は、伝えられるところでは5月下旬というが、それも定かではない。

▼その判断、いや決断に、心情の入る余地は一切ないだろう。ただし小欄は、許容される範囲内ではあるが、オリンピックやパラリンピックを目指して今日も練習に専心する選手に思いを巡らせながら、人間の心情に寄り添って、ものを書いていきたいと思う。

▼日本オリンピック委員会(JOC)の現会長は、あの山下泰裕氏。直前のこの時期に、最大の危機を迎えた東京五輪ではあるが、その緊迫感のなかでも、テレビの画面に山下選手の顔がちらりと映るだけで頼もしさを感じる。

関連記事
よもぎと小豆は、漢方と日常生活において重要な役割を果たしてきました。二つの組み合わせはその味に魅力があるだけでなく、そのユニークな性質を活かして体のバランスを整えてくれます。
この若草色の団子は、ただ目で楽しむだけでなく、桜の花々とともに季節の風情を一層引き立てます。
築200年の荒れ果てた家を購入し、5年かけて新しい命を吹き込んだ米国イリノイ州の夫婦は「それだけの価値があった […]
現代社会は、ストレスや様々な疾患に直面しており、多くの人々が健康への不安を抱えている状況にあります。しかし、私たちの身近な食材には、そんな不安を和らげる力を持つ意外なヒーローが存在します。それが「キャベツ」です。
SARS-CoV-2(新型コロナのウイルス名)のスパイクタンパク質が抗がん作用を妨げ、がんを促進する可能性があることが、最近発表されたブラウン大学による細胞研究のプレプリント(査読前原稿)で明らかになった。