NZ政府、総額73億ドルの経済対策発表 金融危機時上回る規模

[ウェリントン 17日 ロイター] – ニュージーランド(NZ)政府は17日、新型コロナウイルス感染拡大による同国経済への悪影響を和らげるため、121億NZドル(73億1000万米ドル)規模の経済対策を発表した。

ロバートソン財務相によると、世界的な金融危機を受けて実施した財政刺激策よりも規模が大きく、国内総生産(GDP)に占める比率は4%と、オーストラリアやシンガポールなどが最近打ち出した景気対策を上回った。

アーダーン首相は記者会見で「政府は国民の健康と経済の健全性を守るため全力を尽くしている」と強調した。

同国の株価指数S&P/NZX50<.NZ50>は5%超下落していたが、財政刺激策の発表を受けて下げを取り戻した。NZドル<NZD=>も0.3%上昇した。

シティのエコノミスト、ジョシュ・ウィリアムソン氏は「政府の景気刺激策は大規模で、リスクにさらされている人を対象にしており、きょうから実施される」と指摘。こうした点について、「企業や家計が新型ウイルスの影響を吸収できる可能性を最大限に高める内容だ」と評価した。

ロバートソン財務相は、「ニュージーランド経済への影響の全容はまだ分からないが、雇用が失われ、企業に著しい影響が及ぶことは認識している」とし、「人々の雇用を守り、企業への打撃を軽減するために迅速に動いた」と強調。

早い段階で強力な措置を講じる政府の戦略の一環だとし、「これは1回限りの対策ではない。始まりにすぎない」と述べた。

同相はまた、財務省の暫定予測では刺激策実施後の同国の2021年第1・四半期の経済成長率はマイナス1%になるとみられ、刺激策がない場合のマイナス3%よりも緩やかなマイナスになると述べた。

一方、政府の中核債務は現在の目標であるGDP比15─25%を超えて増える見通しだとした。

ロバートソン氏は議会の演説で、NZ経済が「ほぼ確実に」リセッション(景気後退)入りするだろうと述べ、「財政赤字が長期化し、国家としての債務は大幅に増える」と語った。

アーダーン首相は16日の会見で、新型ウイルスによる国内経済への打撃は世界的な金融危機の時よりも大きくなるだろうと警告していた。

国内で確認された感染者は11人にとどまっており、死者はいない。

今回の財政出動策の内訳は、医療サービス充実のための5億NZドル、賃金支援として51億NZドル、所得補助として28億NZドルが用意された。また、企業が十分なキャッシュフローを確保できるよう、28億NZドル相当の法人税軽減措置を実施する。

航空業界に対しては当初、6億NZドルの支援を行う。

*内容を追加します。

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