地方移動でリスク高まる、行動変えるよう要請=安倍首相

[東京 7日 ロイター] – 安倍晋三首相は7日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため緊急事態宣言を発出したことを受けて記者会見し、大都市圏から地方への帰省は感染リスクを高めると警告、自分を感染者だと思って行動してほしいと呼びかけた。緊急事態宣言は都市封鎖ではなく、偽情報で買い溜め行動に走らないよう冷静さを求めた。自身が感染した場合は自ら隔離しながら公務を継続すると説明した。

<正しい情報で冷静な行動を>

安倍首相は、緊急事態宣言を踏まえ東京・大阪などの若者の間で帰省の動きが高まっているとの指摘に対して「地方に移動することで、感染リスクを高めないようにしてほしい」と要請した。

SNS上の誤情報に基づきトイレットペーパーの買い溜めが発生したと指摘し、「正しい情報に基づいた冷静な行動」を要請した。

緊急事態宣言発動後も「道路の封鎖は全くない、必要がないというのが専門家の意見だ」と紹介。営業自粛対象となる飲食店などに対して「警察による取り締まりはないが、協力要請はあるかもしれない」と説明した。理髪店・美容室については「事業継続が必要なサービスとして、西村康稔経済再生相と小池百合子都知事が調整中」とした。

<自ら感染し意識なくなれば麻生副総理が代行>

英国のジョンソン首相の新型コロナ感染に関し「1日も早い回復をお祈りしている」と強調。

自らが感染した場合を問われ「自己隔離して執務するが、意識がなくなる場合は麻生太郎副総理が代行する」と説明した。

<特措法成立時は発動慎重論あった>

緊急事態宣言発動に至った背景として、1)感染拡大速度、2)医療体制のひっ迫度、3)感染経路を確認できない感染者の割合を指摘。感染者数が2倍に増えるまで5日程度となっている東京の現状を踏まえ、今のペースであれば東京の感染者は1カ月後に8万人に達するが、人と人の接触を7-8割削減すれば、感染者数は2週間後ピークアウトして減少に転じる、との専門家試算をベースに判断したと説明した。首相は多人数での会食をしないよう改めて要請した。

緊急事態宣言の発動が遅いとの批判に対しては、緊急事態宣言を可能とする「特措法成立時は、むしろ発動は慎重であるべきのと意見が多かった」と反論した。

中小事業者への資金繰り支援に関し8日、官邸に金融機関関係者を招き、早急な支援を要求すると述べた。現金給付について全世帯対象では3カ月を要してしまうとして、支給対象の絞り込みに理解を求めた。

 

(竹本能文)

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