米、IMFのSDR配分枠創出に反対=ムニューシン財務長官

[ワシントン 16日 ロイター] – ムニューシン米財務長官は16日、米国は新型コロナウイルス対策の一環である国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)の新規配分枠創出を通じた流動性供給に反対すると述べた。

ムニューシン長官はIMF運営委員会宛ての声明で、SDRの新規配分枠創出を通じた流動性供給は、中銀による紙幣乱発のようなものとした上で、資金の70%は流動性供給の必要がない国が多数を占める20カ国・地域(G20)に向かう一方、貧困国向けの資金はわずか3%にとどまると指摘。米政府は貧困国に資金を提供しているIMFの大災害抑制・救済基金(CCRT)や貧困削減・成長トラスト(PRGT)への資金拠出など、より的を絞った取り組みを模索していくとした。

国際通貨金融委員会(IMFC)はこの日会合し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)に対するIMFの対応やSDR新規配分枠の創出などについて協議する予定。SDR配分枠を増やせば、IMF加盟全189カ国に対し、数千億ドルを供給することが可能になる。

SDRの新規配分枠創出については、民間エコノミストや各国閣僚、非営利団体などが提唱。ただ資金供給対象にイランや中国が含まれることから、IMFの最大出資国である米国が反対する可能性が指摘されていた。

中国外務省は声明で「国際的な金融機関は国際協力のための重要なプラットフォームであり、一部の国が用いる政治的ツールではない」との見方を示した。

 

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

関連記事
中国共産党はWHOを代理人とし、米国に対する「ハサミ戦略」を始めるだろう。新たに進められているパンデミック条約がその引き金となる。
韓国最大の太陽光発電メーカーであるハンファ・ソリューションズ傘下のQcellsは中国江蘇省啓東市にある工場を6月30日に永久閉鎖する。
中国共産党の国家安全部が主導する研究機関は、AI技術とビッグデータを利用してカナダの華人議員の個人情報を密かに収集している。
米イエレン財務長官の最近の訪中は、新たな貿易戦争の予兆であるとする見方がある。イエレン氏は中国当局に対し、ダン […]
全世界の軍事費支出が9年連続で増加し、過去最高値を再び更新したことが明らかになった。スウェーデンに本部を置くシンクタンク「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)」が22日(現地時間)に公開した報告書によると、昨年の全世界の軍事費支出規模は約2兆4400億ドル(約772兆円)に達すると集計された。