米、WHO資金拠出再開しない可能性 代替機関設立も=国務長官

[ワシントン 23日 ロイター] – ポンペオ米国務長官は世界保健機関(WHO)について、新型コロナウイルス感染拡大への対応を巡って抜本的な改革が必要との認識を示し、米国はWHOへの資金拠出を再開しない可能性があると述べた。また、WHOの代替機関の設立に取り組む可能性もあると表明した。

ポンペオ長官は22日夜、FOXニュースに対し「米国はWHOを厳しく検証し、どのように対応するか検討する必要がある」とし、「国連機関の1つであるWHOに対し米国は2007年に見直しを行っているため、これが初めてではない。WHOの構造的な改革が必要だ」と述べた。

WHO事務局長の交代は排除しないかとの質問に対しては「それだけではない。米国民の税金をもはやWHOに拠出しない事態になる可能性がある。WHOには大胆な改革が必要だ」と述べた。

その上で、テドロス事務局長は、加盟国が規則を順守しなかった際、公に指摘する権限を行使しなかったと主張。新型ウイルスの発生源となった中国湖北省の武漢市で、ウイルス研究所の安全基準が確実に守られるようにする義務がWHOにはあったとし、事務局長には基準を順守しない国に対する「絶大な権限」があったはずだと述べた。

ポンペオ長官はまた、23日のラジオ番組のインタビューで、WHOの役割を他の機関が担う可能性について聞かれ「まさにその問題について、検討しようとしているところだ」と言明。

その上で「組織が機能していれば、米国は常に主導して役割の一端を担う。だが、望ましい結果を出すことがでいない場合、本来の目標を実際に達成できる構造、形式、ガバナンスのモデルを構築するため、世界のパートナーと協力していくつもりだ」と語った。

トランプ大統領は、新型ウイルス感染拡大を巡りWHOは「中国中心主義」だと批判。WHOへの資金拠出の一時停止を指示したことを前週明らかにした。22日には米国際開発庁(USAID)のバーサ長官代行が、WHOに対する資金拠出を停止している間、米国はWHOが適切に運営されているか検証すると述べた。

米国のWHOに対する拠出金は加盟国の中で最大で、2019年は約4億ドルと、WHO予算全体の約15%を占めた。

関連記事
中国共産党はWHOを代理人とし、米国に対する「ハサミ戦略」を始めるだろう。新たに進められているパンデミック条約がその引き金となる。
韓国最大の太陽光発電メーカーであるハンファ・ソリューションズ傘下のQcellsは中国江蘇省啓東市にある工場を6月30日に永久閉鎖する。
中国共産党の国家安全部が主導する研究機関は、AI技術とビッグデータを利用してカナダの華人議員の個人情報を密かに収集している。
米イエレン財務長官の最近の訪中は、新たな貿易戦争の予兆であるとする見方がある。イエレン氏は中国当局に対し、ダン […]
全世界の軍事費支出が9年連続で増加し、過去最高値を再び更新したことが明らかになった。スウェーデンに本部を置くシンクタンク「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)」が22日(現地時間)に公開した報告書によると、昨年の全世界の軍事費支出規模は約2兆4400億ドル(約772兆円)に達すると集計された。