補正予算が参院通過し成立、コロナ長期化で追加策早くも焦点

[東京 30日 ロイター] – 参議院本会議で30日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応する緊急経済対策を盛り込んだ総額25兆6000億円の2020年度補正予算が賛成多数で可決され、成立した。外出自粛要請による経済活動停止を踏まえ、全国民への一律10万円の現金給付や、売り上げが急減した中小企業向け最大200万円の給付金などを計上した。

政府は緊急事態宣言の延長を検討しており、経済活動の縮小は長期化が必至。すでに与野党からは、家賃支援など追加対策への要望が出ている。

現金の一律給付について、政府は当初、当初リーマン・ショック後の給付で配付に時間がかかったことなどを理由に反対し、困窮者のみを対象とした30万円給付を採用。いったん閣議決定し、4月24日までの成立を目指していた。しかし、公明党の強力な巻き返しで10万円の一律給付に差し替えられた。異例の補正予算の組み替えと同時に、政府は16日に緊急経済対策の対象地域を従来の7都府県から全国に拡大した。

予算組み替えによる規模拡大に伴う財源は全て赤字国債の追加発行で賄うため、補正の赤字国債発行額は23兆3624億円となり、補正予算としては過去最大の発行額となる。

緊急事態宣言の実施期間は5月6日が期限だが、安倍晋三首相は「5月6日にこれで終わったかどうかについては依然厳しい状況が続いている」(4月29日の参院予算委員会)と発言しており、延長が検討されている。

野党は、期間を延長するのであれば現金給付などの支援策も拡充が必要と主張しており、さらなる追加策が議論される見通し。与野党内で飲食業など自営業者向け家賃支援やアルバイト急減で困窮する学生支援が議論されており、2次補正予算を視野に入れた追加対策の早期立案が議論される公算が大きい。

 

 

(竹本能文)

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