オランダの台湾事務所が名称変更した。中国共産党政府は反発し、「ネットユーザーがオランダ製品のボイコットを始めている」と報じた。写真は、王の日を祝うために国旗を掲げる店舗の多いハーグ市内の様子(GettyImage)

オランダは台湾事務所を改称 中国側は「報復」医療資源の輸出停止やボイコットよびかけ

オランダ台湾公館に相当する事務所は最近、名称を変更した。中国官製メディアによると、中国当局は報復的な措置として、オランダへの医療製品の輸出停止や両国事業の停止を検討、オンラインでのオランダ製品のボイコットを呼び掛けたと伝えた。オランダ側の事務所の改称に関する動画は削除され、中国当局の圧力があったとみられる。

4月28日、オランダは台湾の公務を行う「オランダ貿易・投資弁事処」を、「オランダ在台弁事処」に名称を変更した。同所代表ガイ・ウィティッチ(Guy Wittich)氏は改称についての動画を公開し、台湾と新たな分野での関係性が貿易と投資に収まらず、協力範囲は拡大しているため、名称を適正なものにしたと説明している。

台湾外交部(外務省)の呉釗燮部長は、オランダの決定を歓迎し、台湾とオランダの関係の前進の一歩であると述べた。 

しかし、オランダ在台弁事処による改称に関する動画は5月1日までに取り下げられた。台湾中央社の取材に応じた事務所は、動画はオランダの祝日でウィレム・アレクサンダー国王誕生日に合わせて作成したもので限定公開だったと回答した。しかし、同報道は中国大使館からの圧力で削除を余儀なくされたと伝えている。

駐オランダ中国大使館は4月28日、オランダ外務省に事務所の名称の「明確化」を要求した。大使館によれば、事務所の名前は「中国の核心的利益に関わる」と主張し、オランダに「一つの中国の原則」を厳守するよう求めた。

中国共産党機関紙・環球時報は、「中国のネットユーザーが中国企業に、オランダへの医療品の輸出を直ちに停止するよう呼びかけている」と報じた。中国のネット環境は、共産党体制による厳しい管理下にあり、組織的な活動には公的な承認がある場合に限る。報道によれば、「すでにオランダ旅行のキャンセルが相次いでいる」「不買運動が始まった」という。

また、同紙は中国国内アナリストの話として、「新型コロナウイルス大流行の中でも、中国はオランダへの医療品の供給を停止し、オランダとの貿易プロジェクトや人と人との交流を中止し、オランダに警告することを検討する可能性がある」と伝えた。 

オランダにおける中共ウイルス(新型コロナウイルス、COVID-19)の感染者は3万8802人で、死者数は4711人に達する。こうしたなか、医薬品や医療資源の輸出停止は脅しともとれる。

いっぽう、オランダは最近、中国から輸入した60万枚の医療用マスクを「医療用の基準に満たない」としてリコールした。

この8年間で、オーストラリア、イギリス、日本、ポーランドの台湾代表事務所は同様に、台湾との関係拡大に伴い名称の変更を行った。

(翻訳編集・佐渡道世)

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