原油需要は徐々に回復、供給過多は解消されず=OPEC月報

[ロンドン 17日 ロイター] – 石油輸出国機構(OPEC)は17日に公表した月報で、需要が徐々に回復し、協調減産による効果で市場が均衡化しても、今年は供給過多は解消されないとの見方を示した。OPEC加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」に対する減産圧力が強まる可能性がある。

OPECは原油需要の減少幅について、下半期は日量640万バレルと、上半期の日量1190万バレルから緩和すると予想。「過去に例を見ない自主的な協調減産の効果で世界的な供給が減少したことが市場の力強い支えになった」とし、需要は年末に向けて「徐々に回復していく」との見方を示した。今回の月報では今年の原油需要見通しの下方修正は行わなかった。

ただ、最大の消費国である米国を巡る下方リスクは払拭されていないと指摘。さらに、これまでに実施された減産にもかかわらず、協調減産に参加していない国の産油量がこれまでの想定より約30万バレル多くなると予想されるため、原油市場の供給過多は年内は解消されないとの見方を示した。

OPEC加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は4月、5─6月の減産量を日量970万バレルとすることで合意。今月6日に開いた会合で現行水準での協調減産を7月末まで延長することで合意した。

月報によると、OPECの5月の供給量は日量630万バレル減の日量2420万バレル。ロイターの計算によると、協調減産合意の順守率は84%となる。OPECプラス全体としての順守率は87%だった。

OPEC産原油に対する今年の需要見通しは日量2360万バレルとし、前月に示した予想から日量70万バレル下方修正。供給過多を回避するには5月の水準から日量60万バレル程度削減する必要があることが示された。

OPECプラスは17─18日に合同閣僚監視委員会(JMMC)会合と閣僚会議を開き、協調減産の効果などを検証する。

*内容を追加しました。

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