米、台湾との新経済対話創設へ 中国からの圧力に対応

[ワシントン 31日 ロイター] – 米政府は31日、台湾との新たな経済対話を創設する考えを表明した。台湾との関係を強化し、中国からの圧力の高まりに対抗するのを支援する狙いがあるとした。

米政府はまた、台湾の安全保障に関する米国の基本姿勢を記したレーガン政権時代の文書の機密指定を解除したと明らかにした。アナリストらは、台湾当局をさらに支援する姿勢を示す動きだと分析している。

スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、保守派シンクタンク、ヘリテージ財団のオンラインフォーラムで、台湾との経済対話を通じて「ハイテクを中心に、半導体や医療、エネルギーなどの分野で経済関係の最大限の可能性を探る」と説明。

「台湾との関係は対中関係と相互に関わり合っているかもしれないが、その一部というわけではない」と強調した。

トランプ米政権が製造業のサプライチェーンにおける中国への依存度低下を目指す中で、台湾の半導体受託生産最大手、台湾積体電路製造(TSMC)<2330.TW>は5月に米アリゾナ州に総工費120億ドルの半導体工場を建設すると発表している。[nL4N2CX1B5]

 

スティルウェル氏は今回の動きは政策の転換を意味せず、「一つの中国」原則の範囲内での「大幅な調整」だとした。

重要度が極めて高い地域の「平和と安定に対する中国の脅威の高まり」や、中国政府が台湾を軍事的脅威にさらす一方で外交的には台湾を孤立させようと試みていることが、今回の対応につながったとした。

「台湾当局が中国共産党による圧力、威嚇、排除の取り組みに抵抗するのを引き続き支援する」と言明した。

台湾外交部(外務省)は、中国が軍事的脅威によって台湾周辺の平和と安定を損なおうとする中、米政府による支持表明に感謝するとした。その上で、台湾の防衛力強化に引き続き取り組む方針を示した。

スティルウェル氏の前任のダニエル・ラッセル氏は、台湾の安全保障に関する「6つの保証」を記した文書の機密指定解除は、米政権内のタカ派の要望に歩み寄った結果だとみられると分析。タカ派は、台湾の防衛に明確なコミットメントを示さずに、中国による軍事的冒険主義を阻止するのに十分な支援は行うという「戦略的曖昧さ」を撤回するよう求めてきた。

6つの保証には、台湾への武器売却について終了の期限は設定しておらず、中国に事前に相談するとの合意もないほか、台湾に関する米国の基本政策を盛り込んだ台湾関係法の修正にも合意していないという記述が含まれる。

スティルウェル氏は、これらの保証は「現在も有効だ」と強調した。

*台湾外交部のコメントを追加して再送します。

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