【紀元曙光】2020年9月12日

(前稿より続く)中国史上、最大の魔王といえば毛沢東だが、その毛の手下に、康生(こうせい)という死神のような男がいた。
▼康生は1940年代の延安で「整風運動」を主導する。整風とは、共産党内の風紀を整えるため「党員の間違った思想を正す」ことを指す。要は、すさまじい拷問による人格の破壊と虐殺である。康生は、陝西省延安という山中の限られた地域だけで、2万人ともいわれる党員を殺した。
▼この延安整風を生き残った共産党員は、精神が異常になったから殺されなかったと言ってもよい。狂わねば生きられない。今の北朝鮮の、あれである。
▼本来の意味のテロリズム、すなわち恐怖政治は、まさに中国共産党のお家芸である。フランス革命を1789年からナポレオンが立つ1799年までの10年間とすれば、その間のギロチンによる断頭刑は1万数千件という。もちろん、ギロチンではない処刑(銃殺など)も多くあったが、何の罪名であれ、刑罰として死刑に処された人数は数万を超えるまい。
▼それを少ない数とは言わない。ただ、中国共産党統治下の犠牲者数に比べたら話にもならないのだ。中共は第二次世界大戦後、つまり対外的な戦争をしていない平時において、8千万もの自国民を異常死させている。最も多いのは餓死者である。
▼それに次ぐ犠牲者は、政治的な圧力による粛清、不当逮捕、迫害などによるもので、無数の処刑のほか、強制収容所における虐待死も数知れない。そんな共産党中国だから、人民を抑圧する恐怖政治と、「注文」に応じて人を殺しカネを儲ける「臓器狩り」は、止められないのだ。(次稿に続く)