「歪んだ官僚制度に魂売らない」 中国で公務員10人が集団で中共から脱党

2026/02/04
更新: 2026/02/04

中国経済の減速が続く中、雇用情勢は厳しさを増しており、国家公務員試験への志願者が年々増加している。2026年度の国家公務員試験では、資格審査を通過した人数が371万8千人に達し、同年の全国大学院入学試験の出願者数(343万人)を初めて上回った。

2026年の国考では、受験年齢の上限が一般職で35歳から38歳に、博士・修士の新卒者については43歳まで引き上げられた。一方、採用予定人数は3万8100人に減少し、資格審査通過者数と採用予定数の比率は約98対1に達した。ネット上では「年齢制限は緩和されたが、採用枠は減った」「来年はさらに競争が激しくなる」といった声が相次いでいる。

こうした激しい競争を勝ち抜き、公務員として体制内に入った後の現実について、疑問を投げかける声が広がっている。中国共産党(中共)や関連組織からの脱党を表明する「三退」を行った元公務員や体制内関係者の証言が相次いでいる。

「歪んだ官僚体制に魂を売らない」公務員10人が集団で脱党声明

1月24日、金俊傑さん、李雅雯さんら10人の公務員が連名で、中共および関連組織からの離脱を表明した。声明では「唯々諾々と命令に従う道具になることを拒み、歪んだ官僚体制に魂を売らない」とし、「これは職場でのいじめに対する無言の抗議であり、残りの人生を尊厳と良心を持って生きるための決断だ」としている。

10人は、公務員として採用された当初は公共に奉仕する理想を抱いていたが、現実は「悪夢のようだった」と振り返る。職場では上層部による常態化したパワハラがあり、深夜に及ぶ叱責や過剰な業務命令、人格を否定する行為が繰り返されたという。

組織内の手続きを通じて問題提起を試みたものの、結果は内部でのかばい合いと、さらに厳しい締め付けだったと述べている。告発は顧みられず、「組織は正義を守る存在ではなく、特権を守る盾になったと悟った」として、決別を決意した。

「行き場のない存在にはなりたくない」体制内部関係者の証言

元体制内部職員の末末さんは、「常に抑圧と搾取を受けてきた」とし、周囲の人々が体制に縛られ、次第に人生への信念を失っていく様子を目の当たりにしたと語る。「同調や不正に巻き込まれる人も少なくなかった」とした上で、「自分はそうした存在になりたくない」と脱党を決意した。

数十年にわたり体制内で勤務してきた仲傑さんも、長年仕事に誇りを持っていたが、「知らず知らずのうちに体制に流されていた」と振り返り、中共および関連組織からの脱党を表明した。

四川省綿陽市にいる元体制内部の関係者・頼帆さんは、理想と現実の乖離に直面し、「良心と責任を守るために独立した判断を選んだ」と語っている。

医療・金融分野からも脱党表明

北京で医療従事者として働いていた王天真さんは、党員として安定した職を得ていたものの、体制の内部を知るにつれ疑念を深めたという。武漢での感染症対応に従事した医療関係者が命を落とした例を挙げ、「責任が個人に押し付けられる体質に耐えられなかった」と述べ、中共からの脱党を表明した。

また、金融業界で働く江蘇省の孫雲さんは、企業においても体制的な文化が根強く、背景や人脈のない真面目な労働者が不利な扱いを受けていると指摘。「努力よりも縁故や迎合が評価される逆淘汰が起きている」と批判した。

「体制に入らない」という選択

公務員志向が強まる一方で、体制への参加を拒む人々もいる。ある男性は「富や権力ではなく、心の平安を求めたい」として公務員試験を受けず、自営業を選んだという。

1980年代生まれの男性は、「安定のために体制に近づく現象に違和感を覚える」と述べ、過去に加入していた団体からの脱退を表明した。また、「国家と政党は同一ではない」として、愛国心と党への忠誠を切り離して考えるべきだとする声もある。

複数の証言では、中国社会の資源が政府や国有部門に集中している現状が指摘され、「生きるために体制に入らざるを得ない人が多い」との見方を示している。その上で、「制度そのものを変えなければ根本的な問題は解決しない」との意見もあった。