第21回党大会を前に「虎退治」頻発 中共上層部の闘争が白熱化

2026/02/04
更新: 2026/02/04

2025年、中国共産党(中共)の「虎退治(高官摘発)」は過去最多を記録した。2026年も年明け早々、すでに10人の高官が失脚し、ついに軍事委員会副主席の張又侠までもが失脚した。しかし、張又侠の調査については、主に権力闘争が原因であるとの見方が大勢を占めている。

1月31日、中共当局は応急管理部長の王祥喜を調査中であると発表した。官製メディアの統計によると、1月だけで8人の「中管幹部」が落馬した。「中管幹部」とは、中共中央が直接管理する上層官員を指し、その多くは副部長級以上の階級である。

この8人には王祥喜のほか、新疆生産建設兵団副司令官の李旭、核工業集団元総経理の顧軍、内モンゴル自治区元党委員会書記の孫紹騁、水利部元副部長の田学斌、国家林業・草原局元局長の張建龍、中央巡視組副組長の楊宏勇、成都市人大元主任の包恵が含まれる。

これと並行して軍内部でも大きな激震が走り、1月24日には軍事委員会副主席の張又侠と軍事委員会委員の劉振立の失脚が公式に発表された。

2025年を通じて、65人の中管幹部が調査対象となり新記録を樹立したが、2026年は年明けからさらにそのペースが加速している。

台湾の国防専門家である龔祥生氏は大紀元に対し、張又侠のような軍トップの調査は、重点が経済的腐敗にあるのではなく「軍権」そのものにあると指摘した。張又侠という最高位の人物を標的にしたことは、習近平が軍権を完全に掌握しようとしている信号である。

軍事評論家のマーク氏も、現在の過密な「虎退治」のペースは、第21回党大会での続投に向けた布石であると分析する。問題は、現在の党内の若手幹部の多くがいわゆる「改革開放」世代であり、その思考様式が習近平と相容れないことだ。彼らを共産主義の原理主義に回帰させようとするのは、まさに「牛の頭に馬の口を付ける(ちぐはぐな)」行為である。

さらにマーク氏は、次のように分析している。習近平は自身を「紅二代(革命元勲の血を引くエリート)」であると自負し、共産党の支配体制を何としても守り抜くべきだと考えている。しかし多くの人々は、彼の独善的な手法が「時代に逆行」しており、かえって経済を混乱させていると見ている。

台湾国防安全研究院の蘇紫雲所長も、現在のいわゆる反腐敗は政治的な粛清であると指摘する。張・劉の両名が「軍事委員会主席責任制を著しく踏みにじった」と指弾されている点から見て、政治的意図は極めて明白である。

蘇氏は、習近平が軍内の派閥を整理しており、汚職などは単なる付け合わせに過ぎないと述べる。「彼は米軍ですら困難なことを成し遂げた。自軍のトップを自ら『斬首』したのだ」と語った。

『フィナンシャル・タイムズ』は、元CIAアナリストのデニス・ワイルダー氏の分析を引用した。それによると、張又侠は軍での経歴が長く、強大な人脈を持っていたため、習近平にとっては「制御しきれない不安定要因」となっていた。特に習近平の続投問題や台湾情勢をめぐり、二人の立場が食い違っていた可能性が指摘されている。

張・劉の失脚に伴い、第20回党大会以降に失脚が公表された現役の上将は18人に達し、さらに約20名の上将が「消息不明」となっている。軍内部には現在、権力の空白が生じている状態だ。

中共の軍機関紙『解放軍報』は1月31日から3日連続で張・劉の両名を批判する記事を掲載し、軍は「党中央」の決定を支持し、余計なことに気を取られてはならないと強調した。これについて台湾の研究員、沈明室氏は、中共は常に「欠けているもの」こそ強調する傾向があり、これは軍心が不安定であることを逆に証明していると述べた。

台湾の学者、寇健文氏は、現在の粛清の波が上層部の人際関係を断絶させ、新たに着任した者も人脈が希薄であるため、今後の中共内部の権力闘争はさらに激化する可能性があるとの見解を示している。

劉明湘