医療支援呼び掛けた100歳の英男性が死去、英雄との賞賛相次ぐ

[マーストンモルテーヌ(英国) 2日 ロイター] – 新型コロナウイルスと闘う医療従事者への支援で数百万ポンドの寄付を集めた第二次大戦の英退役軍人トム・ムーアさんが2日、英中部の病院で死去した。100歳だった。新型コロナに感染したという。

ムーアさんは、感染抑制のためのロックダウン(都市封鎖)実施中に自宅の庭を歩行器で往復して医療募金を呼び掛けた。これに対し、国民医療制度(NHS)のために3890万ポンド(5300万ドル)の寄付金が集まった。

ムーアさんの世界へのメッセージは、雲は晴れて太陽はまた輝くというもの。娘らは、「愛する父、キャプテン・サー・トム・ムーアの死去を大きな悲しみとともに伝える」との声明を発表した。

家族によると、ムーアさんは5年にわたり前立腺がんと皮膚がんの治療を受けており、肺炎治療中だった1月22日に新型コロナ感染が判明し入院した。他の投薬との関係でワクチン接種を受けられなかった。

エリザベス女王とジョンソン首相は世界から賞賛されたムーアさんに哀悼の意を表明。首相は娘のハンナさんと対話し、「キャプテン・トム・ムーアは真の意味で英雄だった。国家を励ましただけでなく、世界の希望の灯となった」と哀悼を伝えた。首相官邸には弔意の半旗が掲げられた。

一方王室によると、昨年ムーアさんの功績に対してナイトの爵位を授与したエリザベス女王は、遺族に私的な哀悼を伝えると発表。「(女王は)ムーアさんとの面会を大変楽しんだ」という。

米ホワイトハウスも、「人生と行動により何百万の人々に励ましを与えた」と哀悼を表した。

ムーアさんは当初1000ポンドの寄付集めを目指していたが、静かな決意と快活な姿が英国民の心をとらえ、集まった金額は世界記録となった。

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