中谷前防衛相 中共の「越境弾圧」に警告 民族団結法が「主権侵害」

2026/08/11
更新: 2026/08/11

中谷元・前防衛相は8月4日、台北で開かれた「ケタガラン・フォーラム 2026インド太平洋安全保障対話」で、中国共産党(中共)が法律を使って海外の反体制派や少数民族に「越境弾圧」を行っていると警告した。刑事管轄権を国外にまで及ぼす行為は、他国の主権を侵害すると批判した。

中谷氏は国際社会に対し、中共の「越境弾圧」が各国の主権や民主、自由を脅かしているとして、情報共有や外交、経済面での対抗措置を求めた。

中谷氏「民族団結法は日本の主権を侵害」

中谷元前防衛相は講演で、中共が7月に施行した「民族団結進歩促進法」(以下、民族団結法)を強く批判した。今対応しなければ、中共が国外で刑事管轄権を行使する範囲をさらに広げる恐れがあると警告した。また、民族団結法は日本の主権を侵害すると批判し、国防問題として対応すべきだと訴えた。

中谷氏は「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」の共同議長の一人で、今回のフォーラムに出席して講演した。

中谷氏は講演で、中共は海外の反体制派や少数民族への威圧を強め、法律を使った「越境弾圧」にまで拡大していると警告した。

また、元産経記者の矢板明夫氏が台湾で襲撃された事件に言及した。

中谷氏によると、中共は日本や台湾だけでなく、今回のフォーラムでの発言にも刑事管轄権が及ぶと主張している。

そのうえで、中共の行為を「越境弾圧」と認識し、IPACとして包括的な対抗策を整える必要があると強調した。情報共有を進め、外交や経済面で対抗し、被害者を保護するよう求めた。

台湾外相「矢板氏襲撃、中共の悪法を浮き彫りに」

台湾「経済日報」などによると、台湾の林佳龍外交部長は7月7日、外交部でIPAC代表団と会談した。中共が「団結」の名の下で思想を統制し、異論を抑圧していると批判した。また、弾圧を法律で正当化し、管轄権を海外にまで広げていると述べた。

矢板氏が台湾で香港人の男から暴行を受けた事件については、中共が世界各地で越境弾圧を進め、暴力を使って権威主義的な影響力を拡大している実態を示すものだと指摘した。

林氏は、中共の脅威は軍事だけでなく、経済的依存、偽情報による世論操作、認知戦、法律戦、グレーゾーンでの活動、越境弾圧など多岐にわたると述べた。こうした脅威は民主国家の強靱性を試しており、各国が情報を共有し、早期警戒と相互支援を進める必要があると訴えた。

民族団結法は2026年7月1日に施行された。その5日後、インド太平洋戦略シンクタンク執行長の矢板明夫氏が、台湾で講演を終えた後に暴行を受けた。

産経新聞はこの事件を「赤色テロ」と表現した。台湾外交部は矢板氏襲撃事件を、民族団結法施行後初の「越境弾圧暴力事件」と非難した。

IPAC「中共は民主主義と人権に前例のない脅威」

IPACは2020年6月4日に発足し、英、米、日本など44か国と欧州議会の超党派議員300人以上が参加している。各国の対中政策を検証し、見直しを促すことを目的としている。

ルビオ米国務長官や中谷元氏は、IPACの創設共同議長を務めた。

IPACは、中共が民主主義や人権の価値に前例のない脅威をもたらしていると批判し、各国の協力を通じて国際秩序や人権を守る方針を掲げている。

IPACは2022年9月14日のサミットで公報を発表し、台湾のWHO加盟など、国際機関への参加を後押しする方針を示した。

2024年には初めて台北でサミットを開催した。中共は一部の国の議員や台湾の国民党関係者に対し、出席を阻止するため威圧や圧力をかけた。

IPACは中共に厳しい姿勢を取っており、中共から敵視され、数百回に及ぶサイバー攻撃を受けた。

頼清徳総統が演説 IPACは民主と自由を守ると表明

台湾総統府によると、頼清徳総統は8月4日、「ケタガラン・フォーラム 2026インド太平洋安全保障対話」に出席した。

頼氏は演説で、中共の権威主義が拡大する中、台湾は民主主義の価値を守り、地域の平和と安定を維持すると表明した。防衛力を強化し、民主主義のパートナーとともに「非レッド・サプライチェーン」、中共に依存しない供給網を構築する考えも示した。

また、台湾は民主と自由の灯台であり、インド太平洋の平和を支える重要な礎だと述べ、共通の価値をともに守るよう呼びかけた。

今回のサミットでIPACは、中共の民族団結法に関する声明を発表した。IPAC創設者で執行部長のルーク・デ・プルフォード氏が内容を説明し、頼清徳総統に手渡した。

声明によると、IPACは中共が2026年7月に民族団結法を施行した直後にも声明を発表し、基本的人権を著しく侵害する法律だと非難した。

今回の声明では、中谷元氏、プルフォード氏をはじめ、加盟議員らが改めて反対姿勢を示した。

声明は民族団結法について、台湾の主権を侵害し、宗教や少数民族を迫害するだけでなく、越境弾圧を通じて世界各国の人々を政治的に監視し、萎縮を招く「悪法」だと批判した。

プルフォード氏は、中共の権威主義が拡大し、「赤色テロ」が世界各地に広がっていると指摘した。

今年のフォーラムでは、世界の民主主義の強靱性、グレーゾーンでの威圧に対する共同防衛、「非レッド・サプライチェーン」の再構築などが主要テーマとなった。

プルフォード氏は、これらのテーマが国際社会における台湾の位置づけと、台湾が担う国際的な責任を示していると述べた。

IPACは声明で、今後も民主と自由の価値を守ると表明した。

民族団結法による脅威を前に、統一戦線工作による浸透や「赤色テロ」を受け入れず、中共が台湾や自由主義国、世界各地に影響力を広げる動きを看過しないと強調した。

さらに、予防、対抗、保護の仕組みを強化し、言論の自由と国際秩序を守る方針を示した。

呈工